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あんこの会

あんこがはみ出るくらい日々奮闘中のセラピストたちのブログ。 ぜひご一読を!

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人間回復 酒向先生より

あんこブログ初★本の感想



2年前くらいに,
「あなたはいろんな領域の研修に行くけど,結局何がしたいの?」と
冗談まじりに言われたことがあります笑

私は,OTがやりたいんです笑
たかだか5~6年のキャリアじゃやりたい分野の特定は早いと思ったし,
特定できないと思った.




先日,こんな本を貸してくれた後輩がいます.
すごい顔で来たからどうしたかと思った笑
真摯に受け止めるスタンスがあるから,赤くなったり青くなったりするんだよね.

「あきらめない力
 “攻める”脳リハビリ医が挑む希望の人間回復」

脳外科医からリハ医に転身された,世田谷記念病院の酒向正春先生の著書



先生はいじめや交通事故によるリハビリ体験を経て脳外科医になられた.
ある日,ある患者さんに手術を施し,成功したと思ったら亡くなられた.
なぜ?100%成功だと思ったのに.

この経験から,海外に留学し,研究.
帰国後,初台リハ病院でリハの基盤を作り,
今の病院を立ち上げ,副院長兼回復期リハセンター長として着任された.


NHK「プロフェッショナル仕事の流儀」でご覧になった方も多いかも

拝読して一番感じたのは,
治療を提供する上で知識や技術は大前提として
やっぱり大事なのは人間性だということ

先生の興味があるのは,
「病気」ではなく「人間」
「病気」が治っても,「人間」の回復はしないということ


また,
医師だからやらない仕事,というものは特別ない.
必要ならトイレ介助もする.
いつもはできないけど,
患者さんがトイレに行きたくて
ナースコールを押したときにたまたま近くを通りかかれば自分がやるのが普通でしょ.

そんなことがあれば他職種はもっと早くコール対応しようと思うし,
医者が介助できるんだから自分たちはもっとスキルを上げなきゃと思う.

他職種に自分の背中を見せる.


できることを,できる人がやればいい.
大切なことは誰がやるのかではなく,誰のためにやるのか.


とことん,現場主義.
とことん,患者さんとそのご家族に寄り添う.



また著書の中で,

作業療法士
=生活に関わるあらゆる作業を通して日常生活への意欲を高め,活動をスムースに行う専門職
と紹介されていました.


OT=「作業を通して日常生活への意欲を高める」職種
と医師に表現されるのは嬉しいですね.




あのエピソードを思い出したのは,
この先生の,「病気よりも人」のスタンスに触れたから?
私の興味の対象は,やりたい領域がどうのこうのの前に,人なんだろうな.

とにかく大好きな人が増えました★
ステキな本を貸してくれてありがとう(^O^)



あんこ

拍手[2回]

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第1回 日本臨床作業療法学会 2日目

2日目



今日も楽しんできますっ★





午前
口述,ポスター発表
ステキな『作業』でいっぱい!!!




午後は2本立て

学会長講演 澤田辰徳先生

『今一度,作業療法の核を問う』


作業療法の歴史を振り返る

輸入されてきた『作業療法』は,当時は医学へ偏っていた



1960年代
精神科の作業療法は否定され,
身障領域の作業療法はPTと混同された




      過去3回,日本作業療法学会シンポジウムにて
    『作業療法の核』が問われたが,
  いずれも明確に一致した答えは出なかった

1986年(第20回)
OTは期待されない,他職種の真似をしている職種
SWは,OTがCLに提供した重い義手の動きを強い不安を抱え,祈りながら見ていた
PTからは,作業療法が発展しない原因を根本から見直す必要があると

 

1987年(第21回)

OTをわかりやすくするためには,科学性が必要である
OTの核は,『多種多様なニードを見極め,柔軟に対応すること』

1989年(第23回)
準備活動(機能訓練)の位置づけが重要
OTの定義はいつも手段的である


そして
2001 鎌倉
『作業療法士は、医療職として法的な 身分は有しているが、
社会的にも経済的にも医療職であるという市民権は得ていない』という
中途半端な位置にある



    現在,定義を見直そう!!という動きが出ている.
  6月までパブリックコメント募集中!




OTの核は難解ではない
難解にしている原因は,臨床での還元主義


AMPSの開発者 アン・フィッシャー
『OTとは,CLの大切な作業を通した実践のみを行う』
=機能訓練,機能評価はOTじゃない


=日本ではOTの一部

=日本で言う,OTでないときとは,作業につながらないとき


日本では,
CL自身と疎通が図れないとき家族に情報を収集し,
おそらくこうであろうというCLのニーズを推測する
果たしてこれはCL中心と言えるか?
パターナリズム(父権主義)では?


そもそも日本は,察することを期待される文化
よりよいパターナリズムであれば必要


現在の日本のOT
パラダイムシフトは起きているか?
作業療法白書ではいまだ,医学的モデル要素を包含
2005年のOTの目標では『機能改善』が8割を超えている



・primary outcomeとしての作業
・新たなパラダイムには,作業パラダイムと還元主義のパラダイムが必要





シンポジウム

司会
澤田会長,友利先生

シンポジスト
齋藤先生,藤本先生,上江洲先生,籔脇先生,建木先生,鈴木先生

参加者は問いに対して『YES』と思った時に,それを示す
全て4段階で問いかけられる

ついに学会誌の裏表紙にある『YES』を使用するときが!



①『作業を通して健康になる』は,共通の核と言えるか?
 会場の意見は,『言える』,『やや言える』が多い.
 言える!と言いたいが,現場の状況を考えると言い切れない,
 またエビデンスはない...
 『作業をしないと不健康になる』ことにはエビデンスがある.

 共通の核,というには,OT界のみでなく,一般の方々にも自信を持って言いたいが,
 OTの成功体験が少ないかも.

 


②OTの理想的な立ち位置は?
 『医療』と『作業』・・・どちらでしょう.
 会場では中間の,『どちらかというと医療』『どちらかというと作業』が多い.
 作業に関連していることを条件に,医学モデルを活用しましょう.

 

③OBPに,障壁はあるか?
 残念ながら,『ある』が多い.
 OTは『作業を支援してくれる』という認識をCLにしてもらえるように.
 OBPの効果研究をすすめたい.
 一番の障壁は,『自分』






閉会式


来年度 第2回臨床OT学会

2015年2月 
沖縄

 
学会長は上江洲先生
ほぼ発表者のみ出席が許される,超参加型




もう終わっちゃうんだ!あっという間!っていう感じ
さみしいけど,こんなにOTが好きな人たちだからまた絶対会えるもんね★
沖縄・・・♡


さて.また臨床頑張るぞー



あんこ

追伸
意図を組み取れていない部分も多いと思います.ご指導お願いいたします.
 WE START


拍手[7回]

第1回 日本臨床作業療法学会 1日目

平成26年3月22日,23日

  
神奈川県保健医療大学にて
『今一度,作業療法の核を問う』と題して開催

昨年5月の湘南OT交流会のときから参加したいと思っていた学会
終始感動して帰ってきました.
やっぱり,OTが好きです.

ご講演の内容や写真の掲載などに問題がありましたらご連絡くださいませ.




1日目
受付を済ませると同時に,200冊限定先行販売の本
『作業で語る事例報告』を購入!!!
学会期中に完売笑 したので早く手に取ってよかった★★★




特別講演1

『作業に焦点を当てた実践を考える』
齋藤佑樹先生

①OTはわかりにくい?
どのOTも,作業療法の説明の仕方が違う.

様々な言葉で表現される『作業療法』
どの表現も間違っていない
でも,OTすべてを網羅する言葉で表現されることは多いとは言えない

なぜ?
OTはそもそも養成校時代から,手段に興味を持ってから目的を知る,という流れが多い

関心を持った手段の中に目的を見出す
陥るのは,アイデンティティクライシス
『作業療法ってなに?????』

何をするにも,
人の行動は
目的→手段

OTを学ぶ過程は
手段→目的+手段

では,原点に帰る
OTの目的ってなんだっけ?
これまたいろいろな表現があると思います.
でも,
行きつくのは『CLが健康になること』
どんな手段を用いても,

では,『健康』って?
様々な定義があるが
今回は園田恭一先生(1996年)
『生活や人生を高めていくという主体的制御能力の程度』


OTの目的
『人が,大切な作業を通して,よりよい作業的存在になること』

OTは手段では語れない
目的のために,様々な手段を使えるのがOT
OTに大切なことは,『目標との連続性』

では,『作業ができる』とは?
カナダ作業モデルでは,
情緒・認知・体の3つを角にした三角形で人を表し,
さらに,その三角形(人)丸(作業)四角形(環境)と重なる
このモデルを横から見た図形では,人は作業を通して環境に関わる面積がほとんど
『作業ができる』には,環境との関連が重要

 事例1:『自宅で入浴したい男性』(齋藤先生ご本人笑)
 
 

     更衣・入浴動作評価,自宅環境の評価
     自宅での動作自立→退院!!!


     で,よいか?
       この方には,娘をお風呂に入れるという役割があった.
       この重要な役割はCLに生きがいをもたらす重要な意味のある作業
       娘に安全に入浴させる,頭を洗う手助けをする,服を着せる,などの
       一連の行為ができないとしたら,それは作業剥奪
       個人的な作業のみでなく,そのCLが役割や価値を感じるものは何か?

 PEOモデルでは,
  人,作業,環境のそれぞれの丸が同じ大きさで表現され,重なり合い,
  その中心が『作業遂行』


②なぜ,トップダウンなのか?
 順番はそんなに大事?
   面接(目的の確認)
   →観察(手段の模索)
   →検査(手段の模索)
   →介入(手段の実行)


 事例2:『美容室で髪を切る女性』(齋藤先生の娘さん★)
     美容室で・・・
      →毛先はどうしますか?
      →色はどうしますか?
      →どんな髪型にしたいですか?

     毛先も色も決まった後で,髪型を考える???
     変な髪型になったらどうする?笑

      →どんな髪型にしたいですか?(目的)
      →毛先はどうしますか?(手段)
      →色はどうしますか?(手段)


『なぜ』を考える間もなく,トップダウンがごく自然でしょう

OTには,CLの主体性が何よりも大切
目的なしに手段は存在しない


③面接・観察・検査のポイントは?
面接の目的:OTの役割を知ることができる
      CLとOTの役割を尊重し合う信頼関係を構築できる
      CLが『作業的存在としての自分』に初めて出会う時間である
      (CL自身が『作業』の視点で自分に出会う)

SDM
『CLのほうが知っていること(作業的ニーズ,作業歴,心理状態,役割)』と
『OTのほうが知っていること(作業の持つ力,手段)』
をすり合わせる

目標は,その人特有の文脈を取り入れた表現で
『家族と一緒に,和室で食事をする』とか

でも,作業に焦点を当てなきゃ!と必死になるよりは,まず思いを受け止めよう


機能固執,意欲低下,訓練拒否
CLは日々様々な心理状態にさらされている
これらの感情は当たり前

このような状態にであったとき,まずはリーズニングにつなげる

観察≠動作分析

作業遂行上の課題は何か?
見極めるポイントとは3つ
①実際の環境に近づける
②見たままを観察する
 作業遂行している状態
 →遂行の様子をそのまま言葉で表現する
 →人・環境・作業を同じ比重で評価する

③CLがその場面の目的を理解している
 CLにとっては,久しぶりに大切な作業ができる時間
 OTにとっては,作業の質を評価できる時間

そこの理解を共有していないと,ただの失敗体験につながるリスクが高い
せっかくの信頼関係やCLの意欲喪失に

検査や測定の目的は,OBPのためだけじゃない
・リスク管理や連携のため(医療人として)
・『作業の可能化(人が作業を通して環境に結びつくことができること)』のため

 作業ができなくなっている原因をあらゆる面から考えるための手段の一つ

OTとは,作業に焦点を当てた介入ができる職種
目的と手段が区別できれば,OTは曖昧じゃない



ワークショップ
『トップダウンの作業療法~真のニーズを探る~』
藤本一博先生


目標が曖昧で具体性が低い,動機づけが弱い
=CLは,やりたくない
→CLが,意味を感じるには?

大事なのは,ニーズの抽出

トップダウン=OBPの手順

初回面接の様子をいくつか提示
①CLは,自分のニーズを検討していた?
 日本は文化的側面からも,『自分』のことを検討した経験が少ない人が多い.
 『自分よりも人のため』(利他主義)

②予後予測は正しくできていた?

③CLはいくつもの選択肢から選んでいた?
 『1:機能を治して元通りになる』
 『2:諦めて人生を終える』
 の2択しか存在しなかった可能性は?医学的な知識がないと全か無になりやすい

ポイントは
①一歩踏み込んで,多面的にとらえる必要性
 人は環境に埋め込まれている.一つの情報をうのみにしてはいけない
 他の要素は?家族は?
 ライフスタイルは9つの視点で評価・・・
  ADL,健康維持,安全,環境適応,移動,幸福,自由時間,お金,他者との関係

②OTの専門スキルって?
 OTのしていることは,他職種ができることも多い

 OTにしかできないこと
 1.各動作を一緒にやってみる
 2.他職種やご家族から作業に即した情報を収集する
 3.各要因を総合的に分析する(MOHOで作業適応分析,CMOPで作業可能化分析)
 OTの専門スキル=評価の実施スキル+分析スキル


また,面接での自己開示は重要
これにより互いの距離を縮め,信頼関係の構築を促進する


藤本先生のことは本当に大好きなんですが,書面ではどうにも表現しきれません笑
ぜひ直接お話を聞かれることをお勧めします★


1日目午前の部終了

ランチは友利先生,上江洲先生がお弁当を配ってくださいました♪

午後は,口述,ポスター発表から
みなさま素敵すぎて,聞きたい内容がてんこもり.
聞きたくても時間が重なっていて聞けない演題や
質問者が待っていて時間が足りずに話せなかった演題も多くて.そこは残念.
でも,みんなOT大好きなんだな笑




特別講演2 竹林崇先生
『脳卒中上肢麻痺に対する作業を用いた訓練』

意味のある作業の実現
そのためにも,やっぱり可能な限り元の機能に近づけたい

リハビリって,そもそも社会復帰とか再建

手のリハビリ
・麻痺手に対する量的訓練
・課題指向型訓練
・トランスファーパッケージ

一番重要なのはトランスファーパッケージ
麻痺手の機能を上げることではなく,CLの行動自体を変えること

行動変容には,報酬が大事
報酬とは,この場合,目標の実現や達成感を得ること
それによりドーパミンが分泌される

新たな行動を学習する条件は,
大脳皮質が賦活し,線条体でスパイクが起き,ドーパミンがおくられたとき. 

報酬があると,線条体や扁桃体,前頭前野に有意な変化が起きる


目標を決定するときには,ただ質問すればよいか?
麻痺した手を使用していない,
また長年腹側路を使用していないCLは,記憶の想起も不十分になる
現在の条件下で使用している四肢がないと,想起されない

→目標決定には呼び水,ツール,声掛け(想起のヒントになるもの)が必要

発症して180日経過した後に先生のもとで機能訓練実施
訓練期間終了後も改善しつづけたCLさんたち
その行動を支えるものは,長期に及んだ報酬効果


・課題指向型訓練と機能指向型訓練
 脳は使用依存的にネットワークを強化する

課題指向型訓練は,できるだけ実際の生活に近い課題を提示するもの
同じ動作をしても,脳は異なるルートを使う
 ・リーチ動作のみ行う
 ・目的物を用意してリーチ動作を行う

人は手を使用するとき,ほとんど目的物がある
生活により必要なダイナミクスは,目的物があるほう.

課題指向型訓練
・基本はTrial&Error.多少のエラーはシナプスの作り変えには必要
・難易度の調整が重要.指標には,quallity of movement 3.5~4が適切と言われる
 <難易度調整の方法>
  同じ道具を使って,空間的な広がりを使う
  異なる道具を使う
  肢位を変える
 失敗体験が増えると行動抑制が起こるので要注意
 
・2種類を使い分ける.
 機能がある程度改善してから目的的な訓練を行った方が報酬が.
  shaping(作業の手段的利用)
  Task Practice(作業の目的的利用)


 ・・・脳卒中のサルで研究
 A群:すぐ取れる場所にある餌を毎日自力摂取
 B群:何回か試行錯誤しないと取れない場所にある餌を毎日自力摂取

 A群は,一次運動野の領域は減少,B群は3%前後拡大


一番重要なトランスファーパッケージの実際
・麻痺手を使うという約束
 良くなったら,何がしたい???
 思いつかない人が多い.
 呼び水も出して,よくよく考えてもらう.自分と向き合ってもらう
 そして,機能は使わないとなくなるので日常生活で使ってもらう
・問題解決技法
 
 両手動作,麻痺手での動作,健側手での動作・・・
 落としどころを決める
  例:普段は使いたくない.でもスイーツを食べるときは麻痺手で食べる!など

 でも,CLは使える手だとしても,どの場面でどういうふうに使えばいいかわからない
 →OTが伝える.先生は,すべての記録を残し,1冊の教科書としてお渡ししている


意味のある作業の実現に向けて,セラピストは声は出すが手は出さない



すごい内容を1時間でお話されましたので全く網羅できてなくて(TT)
すみません.

竹林先生はこの3連休,怒涛のメニューをこなされました笑

大好きです.


懇親会
お会いしたかった方々にお会いできました(TT)(TT)
湘南OTで初めてお会いしてずっとツイッターでやりとりしていた方々も
ツイッターでやりとりはしていたけど初対面でお会いする方も

全くの初対面の方も

みなさま大好きです.
2日目も楽しむぞー!!

 

あんこ



拍手[3回]

脳機能とリハビリテーション その4

最後に...心のお話


医学的には,『感情』と『情動』の2つに分類される
  感情:高度に発達した,高次認知機能とのかかわりによって生まれるもの
  情動:動物的本能や身体感覚に基づく,無意識的な現象


ソマティック・マーカー仮説
(外部からある情報を得ることで呼び起される身体的情動:口渇、発汗など)を提唱した,Damasioによる情動の分類
  一次情動 :本能的な情動
        (恐怖,驚き,嫌悪,驚き,悲しみ,喜び)

  社会的情動:集団と関わるときに必要な情動
       (思いやり,困惑,羞恥心,罪悪感,自尊心,嫉妬,尊敬,感謝,賞賛,軽蔑)



意識とは無関係,でも心と強くつながりを持つ扁桃体

また,以下の領域と機能的連結によって重要な領域となる
 
 ・海馬とは,不快な刺激からの逃避のため密に連絡しており,記憶の固定化を図る.
  海馬の構成するPapezの回路(記憶)扁桃体の構成するYakoblevの回路(感情)
  連結し,情動を伴う記憶が固定化されやすい状況を作る
 
 ・視床下部(生命維持に重要な部位)とは,緊迫した状況下で迅速な行動をとる
 ・前頭前野(脳を覚醒状態に保つ)とは,問題解決や判断を司る


 (例)実験
    ラットに音を聞かせると同時に電気ショックを与え、
    聴覚条件づけ(恐怖条件づけ)を行うと、
    刺激(音)だけで血圧上昇反応が起こるようになる。

    音と痛みは無関係の刺激.
    でも,これを反復されると,
    『音が鳴れば痛み刺激がくるのでは』と扁桃体は誤解する(条件反射).


 扁桃体の情報処理機構
 低位回路(視床~扁桃体) 
      突発的な危険から逃避するための回路
      何となく不安や恐怖を感じ、冷や汗や動悸など身体の生理現象を引き起こす
 高位回路(連合野〜扁桃体) 
      低位回路からの指令を冷静に分析・判断し,逃避を抑制する回路


 偶然であったとしても,負の生理現象と組み合わさると
 ラットの実験のように条件づけが起き,気持ちの切り替えが困難になる

 条件反射消去のメカニズム
  できあがった条件反射を消したいとき.
  条件反射を引き起こす刺激を入れ,その都度無関係刺激を与えないことを繰り返す
  この反復により,消去(条件反射がなくなる)が起こる

 もし,セラピストが嫌な条件反射の引き金になってしまったときは
 いち早く消したいですね.

 


 CLの顔を見ているか?
 無意識に怖い顔をしてないか?
 負の条件反射を作っていないか?
 CLに安心感を持ってもらえているのか?

 CLの前頭葉が
 『この人いやだ』と判断し、条件付けが起きた場合、信頼関係の構築は難しい
 そんな刺激が入らないよう,セラピストは表情,態度,仕草など細かい部分まで意識したい

CLに正の感情を持ってもらえたら、運動学習はより効果的に

また、
運動学習やその後の行動変容には腹側被蓋野から分泌されるドーパミンの働きが重要
ドーパミンの分泌されない活動は習慣化されないために忘れていく

行動は,
『期待される報酬の量』と『実際に得られた報酬の量』の差で決まる
(またやろうorもうやらない)
『期待される報酬の量』よりも『実際に得られた報酬』が上回れば,
その行動は習慣化されていく
=CLが見積もりを超えられるような設定を.

細かな段階付けが大事ですね.



報酬系には、
<アンダーマイニング効果>
自発的に始めた活動でも、後に外部報酬を追加し,その報酬がなくなると
もともと自発的に始めた活動だったにも関わらず興味を失い,やめてしまう

<自己報酬系> 
内発的動機に基づいて、その行動自体に喜びが見出されている場合、
課題自体の報酬は保たれる


安易な外的報酬で,自己報酬系を壊さないようにしたい.
CLのやりがいやいきがいに関連する作業であれば、能動的に動く。良い循環ができあがる。

大切なことは、
何をするか(内容)ではなく、なぜしたいのか(理由)



人は、楽しいから笑うのか?笑うから楽しいのか?

よく言われる,鶏が先か卵が先か... 
顔面フィードバック(表情は脳からの司令で作られるが、表情を作ることで脳に表情が伝わり、表情に応じた感情が起こること)の存在も実験で明らかに。
 この、強制的に作られた笑顔でもドーパミンは分泌される。



よりよい行動を起こすため、
 外側前頭前野が複雑な認知情報を、
 眼窩前頭前野が行動の情緒的側面を
 内側前頭前野に統合し、道徳・社会的に妥当かを判断しながら行動に反映させる

さらに、内側前頭前野は扁桃体、前部帯状回とも連結
障害されると本能的な要素(直観や無意識)が強い大脳辺縁系の活動が大きくなり、
言語や認知的なやりとりが困難に
そのため、非言語的コミュニケーションが重要となる
意図があるときは,『あるらしく』振る舞うことで,より伝わる.
健常者ですら言語よりも非言語的情報のほうが伝わるとの結果が出ていますもんね



大まかな表情認知は扁桃体が担う
扁桃体が一番活動し、行動を導く表情は,閉口し目が笑っている微笑みの状態
扁桃体は人の目を見て判断している



ソマティックマーカーのように身体が先に反応して脳を制御するという考え方や
ミラーニューロンのように他者を模倣し、共感を得る神経活動もある

セラピストの感情はCLに伝染する
セラピストはCLの目を見て、微笑んで、『らしく』いたい



さらに人は、
他者から『見られている』と行動が変わる
 
 
 
社会的な行動は向けられた視線に基づく
 >面白い実験・・・
 会社にある、自由に飲んでよいコーヒーメーカー
 その隣には自由に金額を設定し、支払える箱
 金額は自由にも関わらず壁に人の目の写真を貼っておくと、
 景色の写真などそれ以外に比べて高い金額を払う

 


講師の坪井さんが提唱する、
『眼差しのリハビリテーション』

セラピストの眼差しが、CLにとっていかに重要か。


また,視線追従はアイコンタクトがないと行われないことがわかった

扁桃体には,
アイコンタクト、顔表情や視線方向に選択的に応答するニューロンが存在!!
社会的知覚(認知)に重要な役割を果たしていると考えられている
またその社会的知覚には、上側頭溝、眼窩前頭皮質の存在も重要

能動的注意を促す際にも利用したい共同注視
そのためにもアイコンタクトを.
さらに,
アイコンタクトを意識した共感的態度を示しながら関わると信頼されやすい

アイコンタクトから共感が生まれ、
共感からその人を信頼しようと意図したときに尾状核が働く

  共感の三大因子
  ・メンタライジング(認知的共感、志向性、心の理論)
  ・向社会的感心(共感的動機、思いやり、共感的感心)
  ・経験共有(感情移入、自他表象の共有、感情の伝染)


また、
自己と他者の興味が合致した際の感覚情報の統合に関わる側頭ー頭頂接合部(TPJ)
CLのTPJに『不一致』を感じさせないように関わりたい



『心の理論』
有名なアンとサリー課題
自分の思いとは違い、他者には他者の心があることを知っている
自閉症の想像力や社会性,コミュニケーション障害は『心の理論』の障害といわれている



『心の理論』を前提に.
持ち合わせていたいのは,
『Not knowingという,専門家としてのスタンス』
Not knowing
あなた(CL)はどう考えているかわからないから、教えて欲しい

押しつけがましい,上から目線のリハビリではないか?


そして,
『mustではなく,wantであること』
主体的な気持ちを大切に





勉強不足で本当に残念なブログです。
坪井さんの言いたかったこと、全然伝わらないかもしれません。
坪井さんのお話はこんなにぶつ切りではないですからね(TT)
すみません.



ご不明な点は、
岐阜脳卒中リハビリテーション研究会 坪井祥一さんまでお問い合わせください。
http://gifunousocchuureha.blog.fc2.com




大好きな坪井さんを,もっと大好きになって帰ってきました.


いつもいつもいつも.
ありがとう.




あんこ


くがさんもご一緒に、課外授業まで★★★

拍手[10回]

脳機能とリハビリテーション その3

ワークショップ





まずはA4用紙とペンを用意

各自が臨床で担当している,またはしていた症例についての
①機能の評価
②脳の評価
③脳の知見を活かした考察
④実際の治療場面での適応
  

を各項目3分ほどで書き出す.
正面に映し出されている,機能的連結についての画面を見ながら.

 例えば・・・
 ①感覚障害重度,上下肢Br.stageⅡ,非麻痺側ばかり使用
 ②右視床出血.他の部位が大きく損傷している様子はなし.
 ③一次運動野への感覚フィードバックが困難に.
  障害側の不活性化および非障害側の過活動化が進行
 ④麻痺側への注意を促し,注意が向いたところで
  実際の物品を遣って,自動介助でのリーチ.
  どんな感触かなど問いかけ,感覚フィードバックを促す.

のような...




書き終えたら2人1組になり,互いに発表する.

2分で各々発表したら席を変え,
相手を変えて繰り返す.
これにより,様々な人の意見を聞き,
刺激を受けて,自分も磨かれる.



そして
今度は,聞き手の態度を変える.
話し手はさっきと同様に話すだけ.
聞き手は,うなづき,傾聴姿勢を取る.

次は傾聴姿勢に加え,相手の発表内容を褒める.

さらにその次は傾聴し,認め,自分の意見も伝える.


これは勉強になります.
発表者も,聞き手も.

発表者は傾聴してもらう,褒めてもらうことの威力を体験できる
聞いてもらえる,共感してもらえる,ってすごい力.
どんどん話したくなる.

『共感』についてはその4で。



やってみると,
話し手は自分の意見を伝えるのも,
聞き手は褒めるのも,
相手の意見を尊重しながら自分の意見を伝えるのも,
本当に難しい。

知識不足も伴ってるから、考えを言葉にして伝えるの心細いんだよね。。。
CLも同じような気持ちなのかな。
自分にできないこと、苦手なこと(障害)の受容なんてそう簡単にできるわけないよね。




会場は,この作業の繰り返しですごい盛り上がりを見せました笑

こんな作業も日々の臨床につながる勢いになる.




『その4』

あんこ

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