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認知症の人の支援と作業療法士の役割

2014年8月17日
昨年度,秋田での全国研修会で
私に多大な影響を与えて下さった,
あの小川敬之先生が
なんと福島県にお越しになりました!!!!

福島でご講演を拝聴できることにとても驚きましたが,

実はあの震災以来,
先生は毎年のように災害支援のためにお越しになっていました.

心より感謝いたします.




認知症の人の支援と作業療法士の役割
~認知症初期集中支援チームと作業療法~

宮崎県延岡市にある,九州保健医療大学 教授
認知症初期集中支援チーム対応プロジェクト委員会委員長
小川敬之先生

ところどころ,緑色で載せた文章がありますが,
ネットでそのように検索していただくと

厚生労働省がアップしている資料にもたどりつきやすいです.
文章ではわかりにくいと思いますので,是非検索してみてください.



世界の認知症
WHO(2012)
認知症を呈する疾患はおよそ60種類
治療により改善するものもあるが,
世界の人口の100人に1人が認知症と診断
有病者数は現在3560万人
2030年には2倍の6570万人,2050年には1億人超と予測


イギリスでは
約70万人が認知症に罹患
それらによる年間経済コストは約3兆円
=認知症患者1人当たりを支えるためのコストが英国人一人当たりの平均所得を上回る

〇各国の認知症対策(開始時期)
 フランス    :プラン・アルツハイマー 2001年
 オランダ    :認知症総合ケアプログラム(第2期)2004年
 オーストラリア :認知症国家構想 2006年
 イギリス    :国家認知症計画 2009年
 デンマーク   :国家認知症行動計画 2011年
 アメリカ    :国家アルツハイマープロジェクト法 2011年


〇業務中心になっている認知症ケアを見直す動き
<パーソンセンタードケア>
 1997年 イギリスのTom Kidwood博士は,
 「認知症をもつ人を一人の人として尊重し,その人の視点や立場にたって理解して
 ケアしよう」と,当時の業務中心のケアに対して,人中心のケアの重要性を主張した
 日本では,国立病院機構菊池病院の精神科医,室伏君士先生
 1970年代 
 認知症患者への偏見が強かった時代から患者への精神的なケアの重要性を訴えてきた
<ユマニチュード>
 フランスで提唱され,日本でもテレビで特集されるなど最近注目されているが,
 日本には昔からあった考え方




〇日本の高齢者・認知症問題
・今後の人口推計では,
 高齢者数は増加するのに生産年齢人口(15歳~64歳)が激減
 65歳以上の高齢者のうち,認知症の人は推計15%.
・認知症有病率は,高齢になればなるほど上がる・・・長寿がリスクファクター

〇介護予防,認知症予防
 OTには何ができて,それで医療費がどの程度減額できて・・・というものを計算し,
 国に提出した
  国はリハビリに,一次・二次予防を期待している
  さらに,病気にならないような仕掛け作りを期待
  さらにさらに,通所はPTに,訪問はOTに期待
  活動的な状態では「一次予防」:啓発・教育
  虚弱な状態では,「二次予防」:生活機能の低下を早期発見・早期対応
  要介護状態では,「三次予防」:要介護改善,重度化予防,進行遅延
 
〇地域包括ケアシステム
 2025年を目途に,
 住まい,医療,介護,予防,生活支援が一体的に提供されるシステムを構築する
 これは,市町村や都道府県が地域の特性に応じて作り上げていく

国の実情が見えてきたところで・・・
H20年 厚生労働省
「認知症の医療と生活の質を高める緊急プロジェクト」が出された
 このプロジェクトは,
「認知症の人は精神病院や施設を利用せざるを得ない」という考え方を改め,
認知症になっても本人の意思が尊重され,
できる限り住み慣れた地域のよい環境で暮らし続けることができる社会の実現を目指す


〇認知症問題への介入手順
<現在>
 ①精神科薬の使用を検討,入院治療の導入
  認知症の初期症状に気付かないまま生活が続き,在宅介護に疲れて医療へ(事後的介入)
 ②服薬状況はどうか,他の疾患はないか
 ③周辺環境や関わり方
  BPSDなど沈静化した後に,その状態を維持するために生活環境を考える
   健全な部分への介入が遅れる,またはできない
   在宅介護に疲れた家族は,再度受け入れることは難しい⇒長期入院,施設へ
<将来像>
 ①周辺環境や関わり方
  ・家族の認知症理解はどうか
  ・環境整備,関わり方でBPSDの沈静化はできないか?(事前介入)
   ⇒早期からの関わりにより人となりや本人の希望を知ることが出来る
    環境整備に順応しやすくなる
    家族の不安感に添える
 ②服薬状況はどうか,他の疾患はないか
 ③精神科薬の使を検討,入院治療の導入
  ケアや環境整備では対応できないときの最終手段
  入院ベッドの空床化や3つのロック(ドラッグ,フィジカル,スピーチ)の危険性あり


<現在の認知症介入><将来の認知症介入>
手順のみではなく,構図も変化する
 今後の認知症施策の方向性について(平成24年6月18日)
 厚生労働省認知症施策検討プロジェクトチーム報告書P28 参考資料2

<現在>

 当事者や家族,
 かかりつけ医,
 一般病院や介護保険施設
 認知症疾患医療センターで何か起きたら,精神科病院
 という,事後的で,精神科病院に送るしかない状況

<将来>
 当事者や家族は
 地域(かかりつけ医と認知症初期集中支援チーム)でケアされ,
 必要時には病院・介護保険施設へ入院・入所,
 認知症疾患医療センターと連携し,検査,診断を受ける



『認知症施策推進5か年計画(オレンジプラン)』
  H25年~29年
  7本の柱があるが,
  初期集中支援チームを推進するためには1,2が要!
  また,チームが稼動しやすくなるために認知症ケアパスの作成を
   1.標準的な認知症ケアパスの作成,普及
   2.早期診断,早期対応
   3.地域での生活を支える医療サービスの構築
   4.     〃    介護    
   5.地域での日常生活,家族の支援の強化
   6.若年性認知症施策の強化
   7.医療・介護サービスを担う人材の育成


標準的な認知症ケアパス(状態に応じた適切なサービス提供の流れ)
 今後の認知症施策の方向性について(平成24年6月18日)
 厚生労働省認知症施策検討プロジェクトチーム報告書P27 参考資料1
 国は,
 「認知症の人ができる限り住み慣れた自宅で暮らし続け、
 また、認知症の人やその家族が安心できることをめざし,
 標準的な認知症ケアパスの作成と普及を推進」したい
 ケアパス作成に向け,まずは地域の社会資源の確認作業から開始




〇日本の認知症施策と作業療法の関連 
1.標準的な認知症ケアパスの作成・普及
  各市町村で,H25~26年度にケアパス作成を推進
  H27年度以降,介護保険事業計画に反映
  現在,包括支援センターに従事するOTへのアンケートや情報収集を行っている段階
  ケアパス作成に関わるOTはいるが,人数などは把握できていない
  

2.早期診断・早期対応(1)
  ・かかりつけ医認知症対応力向上研修
  ・認知症サポート医養成研修
  ・「認知症初期集中支援チーム」の設置
   H25年度 全国14か所でモデル事業
   H26年度 全国20か所でモデル事業
   H27年度以降 モデル事業の実施状況を検証,制度化を検討 
   ⇒現在,モデル事業には11か所,19名のOTが関与
    モデル事業以外の市町村でも多くのOTが関与

「認知症初期集中支援チーム」とは
  複数の専門職が家族の訴え等により,認知症が疑われる人や認知症の人及び
  その家族を訪問し,アセスメント,家族支援などの初期の支援を
  包括的,集中的に行い,自立生活のサポートを行うチームをいう
  目 的:認知症になっても本人の意思が尊重され,
      できる限り住み慣れた地域で暮らし続けるため,
      早期診断・早期対応に向けた支援体制を構築すること
  対 象:40歳以上で,在宅生活中.
      認知症が疑われる,もしくは認知症を持つ方で
      サービスを受けていない方・中断している方,受けているが対応に苦慮している方
  ツール:モデル事業で使用したアセスメントツール(国が提示してきた)
      訪問して,以下のツールを実施し,持ち帰って検討する
      ①地域包括ケアシステムにおける認知症アセスメントシート:DASC
      ②認知症行動障害尺度:DBD13
      ③zarit介護負担尺度日本語版のうち8項目:J-ZBL8
      ④身体の様子チェック票
  内容:・医療機関への受診や検査が必要な場合は,訪問支援対象者に
      適切な医療機関の受診に向けた動機づけを行い,
      継続的な医療支援に至るまで支援する
     ・訪問支援対象者の状態像に合わせた適切な介護サービスの利用が可能となるように
      必要に応じて介護サービスの利用の勧奨・誘導
      ・認知症の重症度に応じた助言
      ・身体を整えるケア
      ・生活環境の改善          この3つはOTの強み!

2.早期診断・早期対応(2)
  ・早期診断を担う医療機関は約500か所整備
  ・地域包括支援センターにおける包括的・継続的ケアマネジメント支援業務の
   一環として,多職種協働で実施される地域ケア会議の普及・定着

  認知症問題に早期に介入するためには,家族や地域の認知症理解が必要
  認知症啓発!!!
  ⇒一般の方にも認知症の方の行動の理解や心の様子が理解できるDVD作成!

3.地域での生活を支える医療サービスの構築(1)
  ・認知症薬物治療に関するガイドラインの策定
   医師向けの研修で活用
  ・精神科病院に入院が必要な状態像の明確化
   H24年度~調査・研究
  ・退院支援・地域連携クリティカルパス
   (日本精神科病院協会作成)
   医療従事者向けの研修を通じて普及を図り,H27年度以降,介護保険事業計画に反映
   OT記入欄はADL評価中心の位置付け

〇入院経過に伴うBPSD症状の変化
  BPSDは,入院期間が6ヶ月以内,6ヶ月以上それぞれの患者群で,ともに
  入院後1ヵ月時点でほぼ改善するということがわかった
  ⇒BPSDの治療に要する期間は約1ヵ月が妥当と考えられ,
   入院後すみやかに退院に向けたサービス調整を行う必要がある
   (厚生労働省 精神科医療について)

〇認知症リハビリテーション
 全国老人保健施設協会は,認知症を有する通所利用者対の調査を実施し,
 リハ実施群において
 「物をなくす,置き場所を間違える,物を隠す,同じことを何度も聞く,
  言いがかりをつける,季節外れの服装をする,日常的な物事に関心を示さない,
  徘徊」が改善した.
 ⇒認知症短期集中リハに効果あり
  現在はH27.1までに1ヵ月の入院による変化をデータ収集

上記より,
退院支援
重度認知症デイケア
短期集中リハにおけるチーム医療職の一員
医療・介護連携の役割
短期集中リハにおける役割
の担い手が必要であり,
入院期間を短縮するためのOTの役割を明確化する必要
・BPSD沈静化の具体的手段
・沈静化後の在宅復帰に向けたリハ
・地域との連携による包括的支援

〇認知症患者リハビリテーション料 1日240点
 施設基準に該当する施設として届け出た施設は,
 重度認知症の状態にある患者(Mランク相当)に対して,
 個別リハを20分以上実施した場合,
 入院後1ヵ月以内に限り週3回まで,1セラピスト18名/日まで算定可能
 
4.地域での生活を支える医療サービスの構築(2)
・認知症をもつ方が可能な限り,住み慣れた地域で生活を続けるために
「認知症対応型共同生活介護(グループホーム)」等の介護サービスの拡充を図る
・行動,心理症状等が原因で在宅サービスが困難となった場合に介護保険施設等
 地域のサービスがその担い手となることを推進する

⇒現状は,グループホームやその他福祉施設に勤務するOTが少なく,
 看取りも含めた終の棲家としての生活形態の援助に対する取り組みは少ない
 ただ,病院勤務のOTが介護施設に出向いてBPSD沈静化に向けた介入について
 施設職員とともに考えるなどの関わりを持つOTが増えてきた

5.地域での日常生活・家族支援の強化
・認知症地域支援推進員の人数:H24年度末175人,29年度末700人
・認知症サポーターの人数       :     350万人,   600万人
・市民後見人の育成や支援組織の体制は将来的に全ての市町村(約1700)で整備
・H25年度以降,認知症カフェの普及により当事者や家族への支援推進
⇒サポーター養成講座や認知症カフェのあり方と運営,家族支援の研究などにOT関与

6.若年性認知症施策の強化
・若年性認知症支援のハンドブック作成
・当事者の意見交換会開催
⇒具体的な対応や今後の方向性についてOT関与

7.医療・介護サービスを担う人材の育成
・認知症ライフサポートモデルの策定
 認知症ケアに携わる従事者向けの多職種協働研修で活用
・認知症介護実践リーダー研修
・認知症介護指導者養成研修
・一般病院勤務の医療従事者に対する認知症対応力向上研修
 


〇長期展望
①これまでの関わり推進
認知症初期集中支援チームへの積極的参加
③認知症初期集中支援チームの稼動や早期介入には「啓発」が要!
④医療系施設に勤務するOTが多いことから,
 認知症疾患医療センター地域型・診療所型(仮称)からの
 訪問リハや在宅支援の仕組みをモデル的に行う
⑤入院中の認知症患者の早期退院を目的とした作業療法の構築
⑥入院初期からのBPSD沈静化に向けた作業療法介入の構築
⑦高齢者の集える場所,コミュニティの構築
⑧⑦と連動し,介護予防事業への参画,運営
地域ケア会議への積極的な参加




★先生のライフワークを一部ご紹介
・「しゃべり場っ!」
 空き店舗を利用したコミュニティの場
 高齢者3名に語りを行ってもらう(回想法)
 3名は戦前から戦後にかけて商店街で商いをしている
 参加者は近所の住民.企画者は包括支援センター,市役所,NPO法人の職員,
 保健師,OT
 行政や包括と連携して実現した
・喫茶店をお借りして
 月1回,歌ったり,手品を見たりして過ごす.
 もちろん家族の同意を得て.
・認知症臨床研究会
 平均参加人数30名.介護職,ケアマネ,看護師,リハビリ,家族など.
 福岡,北九州,宮崎,沖縄,佐賀,大分,山口,鹿児島で開催
 先生が外と繋がる為に始めた!!

まだまだご活躍されているフィールドがたくさんある先生.
当事者とご家族のためによいことを実践されていくそのお姿にはとても惹かれます.




★★もっと寄り添いたいときに
アンパンマンが生まれた理由,知ってますか?
 「正義」はある日,逆転します.正しいと思っていたことが間違いだったり.
 でも,逆転しない正義がある.
 それは,「献身,愛」
 やなせ先生は,世界最弱のヒーローを作りたかった.
 ジャムおじさんとパン工場がなければすぐにやられちゃうけど,
 でも目の前にお腹がすいている人がいたら顔を分けてあげる.
 飢えはつらいから.
 自分だって弱いんだけど,そうしないといられない.あったかい気持ち.
 支援者としての力はもちろん弱いし,足りないけど,
 自分にも何かできることがあるならやりたい!


「ぼけても心は生きていることを知ってほしい」
  認知症老人を抱える家族の会著,中央法規出版
  social pain(社会的な痛み)の話題は泣きそうでした.
  
   親として,娘として,
   子供にもっとこうしてあげたい・・・
   でも,今の私にはできない
   お母さんにやさしくしたい・・・
   でも,なんでこんなこともできないの?って思ってきつく当たってしまう
   ごめんね.

著者不明,ロナルド・ダールステン寄稿
(スコットランドのある老人病院棟から見つかった詩)
 これを読んで,
 自分は何をしていたんだろう.まだ目を向けられるところはあったのに.
 と思いました.はっとさせられる文章です.ぜひ検索してご一読ください.

名前を忘れたことが大変残念ですが,
 有名な外国の47歳の方がアルツハイマー型認知症を発症
 自分の名前ではなく,「アルツハイマーになった人」と呼ばれるようになった
 発症後も活動を継続している理由
 「自分の固有名詞を取り戻すためです」


最後に・・・
『人生パズル』
パズルは1つずつ見ても何かわからない
でも,全部組み合わせたら絵になる
人生も同じ
たった一つの「認知症」というピース
「認知症」以外にもたくさんのピースがある
「認知症」があったって,喜んだり,安らぎを感じて生きられる
そんなピースを増やしていく関わりをしたい



文章中にも登場しましたが,
先生方(OT協会)の作成されたドラマ,
『二本の傘』がyoutubeにアップされています.

認知症の方とご家族,そして支援のあり方についての動画になっています.
作業療法士だからできることがたくさんあるということがよくわかります.
やれることを見つけられるドラマになっています.
素直な感想は,OTってすごい!!!です笑
バージョンがいくつかありますが,20分弱のものが全編です.
ぜひぜひ,ご覧くださいませ.


すみません,私の言葉ではアピール力半減です...(T  T)
でも,先生はやっぱりステキすぎました.
3時間の内容を書くと長くなってしまいましたが\(◎o◎)/
後半は先生のご活躍や当事者の方の思いを感じて
こちらもいろんな思いになりますよね.

最後に先生とお写真(*^^*)

やっぱりOTは,サイエンスとアートですね!
大好きです!!



あんこ


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