あんこの会
あんこがはみ出るくらい日々奮闘中のセラピストたちのブログ。 ぜひご一読を!
OT全国研修会in秋田 2日目
- 2013/09/11 (Wed)
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全国研修会in秋田
2日目
この日も寝不足ですが楽しみます!
①作業で健康になるリハビリテーション
~生活行為向上マネジメント~
大庭潤平先生
2025年、団塊の世代が75歳を迎える。
このときには今は分断されているシステムをまとめて、地域包括ケアシステムを。
『健康』
=やっぱり主観。障害があっても自分が健康だと思えるならそれは健康な状態。
生活行為向上マネジメントが立ち上がった歴史の振り返り・・・
OTの臨床思考過程を説明できるもの。
急性期を例に挙げると、
在院日数の短縮化、限られた単位、手段になってしまっているOT・・・
急性期一つ取っても問題は多い。
でも、次のステージにつなげることはできる。
『担当作業療法士』が変わっても、『作業療法』は変わらない。
生活の予後予測ができるのはOTでしょ!
CLが自分でできた!と思える介入を。OTは縁の下の力持ちなんだから。
生活行為向上マネジメントにより、もちろんCLは変わるが、周囲の人たちも変わる。
CLがやりたい作業を実現できる地域、継続できる環境を。
モデル事業のときからお手伝いさせていただいていた生活行為向上マネジメント。
CLのよりよい健康に、新人さんの道しるべに、想いを共有できたときの感動を次のCLに生かすために、
使えたらいいんじゃないかな。
②認知症患者の生活に必要なコミュニケーション支援
九州保健福祉大学 小川敬之先生
またまたすごい方にお会いしてしまいました・・・
感動しすぎてうるうるしながら拝聴。
コミュニケーション
=まずはCLを知ろうとすることから
わかってくれば、声のかけ方、触れ方が変わってくる。
4人の症例を通して
>1人目 (キーワード:通じ合う)
認知症専門病棟で、いつもうずくまっている方。話しかけても無言、無動。
意思疎通は可能とのことで入院されてきたが・・・?
いつもいつもうずくまっていて動かないので廃用が進む。どうにか歩行訓練はできないか・・・
先生は毎日CLの隣に行って一緒にしゃがみこんだ。そしてある日、祖母がよく歌っていた歌を歌ってみたら、ついに話した!
そこからは一緒に歌い、散歩が可能となった。
>2人目(キーワード:生活史・個人史)
早朝覚醒、徘徊、盗癖があると入院してきた女性。
毎日早朝に起きてティッシュを2~3枚ずつ全ての病棟患者に配って歩き、そこからリモコンやらなんやらを持って自室に戻る。
彼女は、時間だ・・・と言って起きだし、集金は自分がやらないと・・・休刊日だから寝ていよう・・・と話すことがあった。
問題行動として扱われ、薬で鎮静化。
彼女は新聞配達・集金を3年前まで毎日やっていた方だった。
ただ、『休刊日』には仕事は不要だった。
彼女は入院中も仕事をしていたのだ。
ここから彼女への働きかけは変わる。
毎朝行うオムツ配りの業務を手伝っていだたき、毎晩寝る前に『明日は休刊日です』とお伝えした。
早朝覚醒、徘徊、盗癖はなくなった。
認知症だから・・・とスルーしている単語はありませんか?
>3人目(キーワード:脳科学)
更衣がうまくできない男性。
動画を見ながら。
そもそも更衣の過程は、
服の提示⇒服のかたちの理解⇒着衣⇒乱れの有無確認⇒達成感
昔からやっている習慣化された活動。
⇒ワーキングメモリーを引き出せばよい。
メカニズムは2通り。
<頭頂葉(運動企図)⇒運動前野⇒一次運動野⇒筋出力>
本人の今までのやり方を知って、こちらがきっかけを作ればあとはワーキングメモリーでできる。
彼はかぶり服を着るとき、いつもまず最初に眼鏡を外す、という行為があった。
こちらが眼鏡をそっと外して、服を渡してみる。スムースに着れた!!
服の提示から、時間が経過してしまうと『服⇔着る』のつながりが保持できない。
混乱が始まれば負のスパイラルに入り、状況の整理ができない。
混乱したら、『仕切りなおす』。
対象者の、できるはずの『自分』、自尊心を守る。
もう一つのメカニズム。
<基底核(内発的動機、自動運動)⇒補足運動野⇒一次運動野⇒筋出力>
自発性の誘導。
『これから出かけます。外出用の服に着替えましょう』
>4人目(キーワード:環境。今回は特に人物)
10人の認知症ケアユニット。男性1名、女性9名。
この唯一の男性をひどく嫌う女性が2人いた。この女性たちはいつも彼の悪口を言っている。
この男性は、確かに日中何もしない。ソファーに座っているか、横になっているか。
女性たちは順番に配膳や掃除を行っている。
あるとき、この男性の動かないことが問題視された。このままでは廃用が進み、歩けなくなるかも・・・
一人の介護士が、
『これどうですか???』とOTに提案したのが、彼がえさやりをしていた亀。
この亀も狭い水槽で可哀想だから、外に散歩に連れて行こうという名目で、
彼に散歩係を依頼することに。
女性たちのなかでリーダー格の女性に、彼へ依頼してもらうことにした。誰も逆らえないからね笑
彼はこの女性の依頼なら、と了解。その他の女性陣も、やっと動いてくれたと笑顔。
そして亀にひもをつけて外出成功!!!
しかし亀は歩かなかった。
でも彼はその亀をひきずって施設周囲を1周。無事に帰ってきた。
散歩は毎日続いた。
ある日。散歩中に亀がいなくなった。
彼は亀がいないことに気づきながらもひもだけ持って帰ってきた。
狭い水槽よりいいかと思って探さなかったのだと。
その日から女性陣にまた嫌われることになった。
この亀は、メンバー全員が可愛がっていたのだ笑 でも亀の縛り方が不十分だったのはこちらのミス。
許していただいた。
人間模様や動物の利用。
最後に、Evidence Based Medicine+Narative Based Medicine
③目と手の協調性に関する認知運動制御と作業療法
名古屋大学 酒井浩先生
まさかの脳科学の視点からのお話でした★
興味を持ってあんこの会で勉強している私にはありがたい!
でもやっぱり難しい・・・
目と手の協調性(視覚対象に正確にリーチするシステム)
=視覚性運動制御
これは、
背側経路が空間認知し、背外側前頭前野が能動的制御、小脳系が正確な運動を担当する。
これを司る回路は、
・what回路
=側頭葉へ向かう腹側経路。意識される視覚。意味(快・不快)
統覚(線や丸でぐちゃぐちゃなものがある、というだけ。
角回≒下頭頂小葉。障害されるとゲルストマン症候群、構成障害)
⇒統合(大体の形にはなっている)
⇒連合(書き写しはほぼ完ぺきだが意味づけができない)
・where回路、How回路
=頭頂葉へ向かう背側経路で、頭頂間溝付近にある。意識されない視覚。視覚対象の位置情報を自己身体から見た位置関係、あるいは空間内の対象と自己との位置関係で分析、空間座標を形成する。またこの付近で多感覚情報の統合を行う。
この2つの共通経路は、一時視覚野。明暗、注視、同定、焦点化、固定、移動を行う。
where回路が障害されるとバリント症候群(精神性注視麻痺、視覚性注意障害、視覚性運動失調)
How回路が障害されると対象に自分の体を合わせられない(構えを作れない)プレシェイピングの障害
よくわからないので、大好きな岐阜脳卒中リハビリテーション研究会のPTさんに聞きます笑
④精神疾患患者に対する身体機能へのアプローチ
佛教大学 苅山和生先生
今の時代の特徴
=選択肢が多すぎて混乱、拒絶。
また選択肢が多いことに慣れてしまい、選択肢が少ないときに不満が出る。限界設定をしてあげる・・・
精神科OT
=まずは自己開示。OTである前に『自分』を知ってもらうところから。
そして、OTである自分にできることを伝える。
健康
=能動的主観的な概念。
ADL、IADLの自立度が退院のカギ。
生活行為向上マネジメントを利用すれば自立していなくてももっと退院促進できる?
精神疾患のあるCLは適切な行動選択ができないため、健康が保てない。
『自分』を守るために、
体に負荷をかけすぎるCL(動いているほうが楽。実際は疲労している)、
かけなすぎるCL(動かない)。
どちらも自分なりの『いたわり行動』を取っているだけ。
OTは、CLが正しい『いたわり行動』を選択できるよう、きっかけを作る。
帰りの時間が近づいてしまったため、最後まで拝聴できませんでしたが。。。
2日間かなりの弾丸スケジュールでしたが、とても充実していました。
講師の方々、懇親会でお話させていただいた方々、たっぷりの刺激をくださった方々に
心から感謝です。
秋田の郷土料理もちょーおいしかった★★★
あんこ
2日目
この日も寝不足ですが楽しみます!
①作業で健康になるリハビリテーション
~生活行為向上マネジメント~
大庭潤平先生
2025年、団塊の世代が75歳を迎える。
このときには今は分断されているシステムをまとめて、地域包括ケアシステムを。
『健康』
=やっぱり主観。障害があっても自分が健康だと思えるならそれは健康な状態。
生活行為向上マネジメントが立ち上がった歴史の振り返り・・・
OTの臨床思考過程を説明できるもの。
急性期を例に挙げると、
在院日数の短縮化、限られた単位、手段になってしまっているOT・・・
急性期一つ取っても問題は多い。
でも、次のステージにつなげることはできる。
『担当作業療法士』が変わっても、『作業療法』は変わらない。
生活の予後予測ができるのはOTでしょ!
CLが自分でできた!と思える介入を。OTは縁の下の力持ちなんだから。
生活行為向上マネジメントにより、もちろんCLは変わるが、周囲の人たちも変わる。
CLがやりたい作業を実現できる地域、継続できる環境を。
モデル事業のときからお手伝いさせていただいていた生活行為向上マネジメント。
CLのよりよい健康に、新人さんの道しるべに、想いを共有できたときの感動を次のCLに生かすために、
使えたらいいんじゃないかな。
②認知症患者の生活に必要なコミュニケーション支援
九州保健福祉大学 小川敬之先生
またまたすごい方にお会いしてしまいました・・・
感動しすぎてうるうるしながら拝聴。
コミュニケーション
=まずはCLを知ろうとすることから
わかってくれば、声のかけ方、触れ方が変わってくる。
4人の症例を通して
>1人目 (キーワード:通じ合う)
認知症専門病棟で、いつもうずくまっている方。話しかけても無言、無動。
意思疎通は可能とのことで入院されてきたが・・・?
いつもいつもうずくまっていて動かないので廃用が進む。どうにか歩行訓練はできないか・・・
先生は毎日CLの隣に行って一緒にしゃがみこんだ。そしてある日、祖母がよく歌っていた歌を歌ってみたら、ついに話した!
そこからは一緒に歌い、散歩が可能となった。
>2人目(キーワード:生活史・個人史)
早朝覚醒、徘徊、盗癖があると入院してきた女性。
毎日早朝に起きてティッシュを2~3枚ずつ全ての病棟患者に配って歩き、そこからリモコンやらなんやらを持って自室に戻る。
彼女は、時間だ・・・と言って起きだし、集金は自分がやらないと・・・休刊日だから寝ていよう・・・と話すことがあった。
問題行動として扱われ、薬で鎮静化。
彼女は新聞配達・集金を3年前まで毎日やっていた方だった。
ただ、『休刊日』には仕事は不要だった。
彼女は入院中も仕事をしていたのだ。
ここから彼女への働きかけは変わる。
毎朝行うオムツ配りの業務を手伝っていだたき、毎晩寝る前に『明日は休刊日です』とお伝えした。
早朝覚醒、徘徊、盗癖はなくなった。
認知症だから・・・とスルーしている単語はありませんか?
>3人目(キーワード:脳科学)
更衣がうまくできない男性。
動画を見ながら。
そもそも更衣の過程は、
服の提示⇒服のかたちの理解⇒着衣⇒乱れの有無確認⇒達成感
昔からやっている習慣化された活動。
⇒ワーキングメモリーを引き出せばよい。
メカニズムは2通り。
<頭頂葉(運動企図)⇒運動前野⇒一次運動野⇒筋出力>
本人の今までのやり方を知って、こちらがきっかけを作ればあとはワーキングメモリーでできる。
彼はかぶり服を着るとき、いつもまず最初に眼鏡を外す、という行為があった。
こちらが眼鏡をそっと外して、服を渡してみる。スムースに着れた!!
服の提示から、時間が経過してしまうと『服⇔着る』のつながりが保持できない。
混乱が始まれば負のスパイラルに入り、状況の整理ができない。
混乱したら、『仕切りなおす』。
対象者の、できるはずの『自分』、自尊心を守る。
もう一つのメカニズム。
<基底核(内発的動機、自動運動)⇒補足運動野⇒一次運動野⇒筋出力>
自発性の誘導。
『これから出かけます。外出用の服に着替えましょう』
>4人目(キーワード:環境。今回は特に人物)
10人の認知症ケアユニット。男性1名、女性9名。
この唯一の男性をひどく嫌う女性が2人いた。この女性たちはいつも彼の悪口を言っている。
この男性は、確かに日中何もしない。ソファーに座っているか、横になっているか。
女性たちは順番に配膳や掃除を行っている。
あるとき、この男性の動かないことが問題視された。このままでは廃用が進み、歩けなくなるかも・・・
一人の介護士が、
『これどうですか???』とOTに提案したのが、彼がえさやりをしていた亀。
この亀も狭い水槽で可哀想だから、外に散歩に連れて行こうという名目で、
彼に散歩係を依頼することに。
女性たちのなかでリーダー格の女性に、彼へ依頼してもらうことにした。誰も逆らえないからね笑
彼はこの女性の依頼なら、と了解。その他の女性陣も、やっと動いてくれたと笑顔。
そして亀にひもをつけて外出成功!!!
しかし亀は歩かなかった。
でも彼はその亀をひきずって施設周囲を1周。無事に帰ってきた。
散歩は毎日続いた。
ある日。散歩中に亀がいなくなった。
彼は亀がいないことに気づきながらもひもだけ持って帰ってきた。
狭い水槽よりいいかと思って探さなかったのだと。
その日から女性陣にまた嫌われることになった。
この亀は、メンバー全員が可愛がっていたのだ笑 でも亀の縛り方が不十分だったのはこちらのミス。
許していただいた。
人間模様や動物の利用。
最後に、Evidence Based Medicine+Narative Based Medicine
③目と手の協調性に関する認知運動制御と作業療法
名古屋大学 酒井浩先生
まさかの脳科学の視点からのお話でした★
興味を持ってあんこの会で勉強している私にはありがたい!
でもやっぱり難しい・・・
目と手の協調性(視覚対象に正確にリーチするシステム)
=視覚性運動制御
これは、
背側経路が空間認知し、背外側前頭前野が能動的制御、小脳系が正確な運動を担当する。
これを司る回路は、
・what回路
=側頭葉へ向かう腹側経路。意識される視覚。意味(快・不快)
統覚(線や丸でぐちゃぐちゃなものがある、というだけ。
角回≒下頭頂小葉。障害されるとゲルストマン症候群、構成障害)
⇒統合(大体の形にはなっている)
⇒連合(書き写しはほぼ完ぺきだが意味づけができない)
・where回路、How回路
=頭頂葉へ向かう背側経路で、頭頂間溝付近にある。意識されない視覚。視覚対象の位置情報を自己身体から見た位置関係、あるいは空間内の対象と自己との位置関係で分析、空間座標を形成する。またこの付近で多感覚情報の統合を行う。
この2つの共通経路は、一時視覚野。明暗、注視、同定、焦点化、固定、移動を行う。
where回路が障害されるとバリント症候群(精神性注視麻痺、視覚性注意障害、視覚性運動失調)
How回路が障害されると対象に自分の体を合わせられない(構えを作れない)プレシェイピングの障害
よくわからないので、大好きな岐阜脳卒中リハビリテーション研究会のPTさんに聞きます笑
④精神疾患患者に対する身体機能へのアプローチ
佛教大学 苅山和生先生
今の時代の特徴
=選択肢が多すぎて混乱、拒絶。
また選択肢が多いことに慣れてしまい、選択肢が少ないときに不満が出る。限界設定をしてあげる・・・
精神科OT
=まずは自己開示。OTである前に『自分』を知ってもらうところから。
そして、OTである自分にできることを伝える。
健康
=能動的主観的な概念。
ADL、IADLの自立度が退院のカギ。
生活行為向上マネジメントを利用すれば自立していなくてももっと退院促進できる?
精神疾患のあるCLは適切な行動選択ができないため、健康が保てない。
『自分』を守るために、
体に負荷をかけすぎるCL(動いているほうが楽。実際は疲労している)、
かけなすぎるCL(動かない)。
どちらも自分なりの『いたわり行動』を取っているだけ。
OTは、CLが正しい『いたわり行動』を選択できるよう、きっかけを作る。
帰りの時間が近づいてしまったため、最後まで拝聴できませんでしたが。。。
2日間かなりの弾丸スケジュールでしたが、とても充実していました。
講師の方々、懇親会でお話させていただいた方々、たっぷりの刺激をくださった方々に
心から感謝です。
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この記事へのコメント
無題
カコさんへ
いつかはどこの施設でもその方の作業を大事にした関わりを、ひいては地域で実践していけたらいいなぁと強く思いました!