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あんこの会

あんこがはみ出るくらい日々奮闘中のセラピストたちのブログ。 ぜひご一読を!

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福島県作業科学研究会

どうも、エキセントリックです。
5/30
熱い思いを秘めた後輩と2人で
福島県作業科学研究会に参加してきました!


この会、『作業科学』と銘打ってはいますが、
作業科学だけでなく,臨床に活かせるものを皆で学ぼう!
という素敵な会です。そう侍OTこと齋藤先生が言っておられました!
熱い人ばっかり。


前半は3人の方の事例紹介。
後半は友利先生の講義。

* 構成上、友利先生の講義から紹介させて頂きます↓ *



明日からできる!

クライエント中心の作業療法

「人は作業を通して健康になれる」ことを,まずはセラピスト自身が信じる!

1)作業と健康


  「健康」ってなんでしょうか

   問.乙武さんは「健康」か?

     

   多くの方は”健康である”と答えるようです。
   では、身体機能面に限局すると重度の障害がある
      乙武さんを健康であると判断するのはなぜか?
   
   …自分がやりたいことが出来ているからなんですよね!

   そうなると、
   病気や障害がある = 不健康
   という図式に違和感が出る。
   
   病気や障害があると、 
   友達と話したり 携帯でメールをしたり睡眠をとったり、
   いつも通りのこと(作業)ができなくなる
   
   不健康とはやりたい作業ができないこと
   その原因の一つが病気と考えるとスッキリ!
   (震災などで環境を制限され、やりたいことが出来なくなるのも不健康かな、と
    エキセントリックは思いました)

   
   人は生きがいをもっていると生存率が上がる、という実験結果もあるそうです。
   その人にとって意味のある作業(生きがい)があるかどうかで
   長生きできるか、変わるわけですね。
   セラピストが支援したことで元気になるかどうかの根拠はまだないらしいので
   皆さんいっしょに頑張りましょう!

2)クライエント(CL)中心とは?

  先生の学校に在学中の,不運にも骨折した学生さん。
  そんな彼女にCL役をお願いし、COPMの実技をしてみた。

  彼女の感想は、
  「自分のできないことがわかってショックを受けた」だそうです。
    …面接をするときは細心の注意が必要です

  気を取り直し、
  面接結果を踏まえて、先生とOT学科の学生さん全員で治療計画をたてました。
  彼女の「キャンプや外に出かけたい」といった希望に対し、
  「介助者が手伝って外出する」という計画
  
  しかし,
  本人だけは「両手に松葉杖なので雨の中傘をさすのは難しいけど
        自分で車の運転をして外に出かけることはできる。
        今の下肢の状態ならそれくらいはできるようになる」
  と自分で予測と計画を立てた。
  その後、友達とキャンプに行けたそうです。

  目標が決まれば、必要なことはクライエント自身で気づく
  つまり、

  人は自分で健康になれる力を持っている!!   

  それをひきだすのがセラピストの役割!
  CLと信頼関係を築き、CLの言葉を理解すること、
  そして潜在的な力を発揮できる機会をつくること
  適切な作業体験
  ⇒CLの能動的な参加
  ⇒適切なフィードバック


  ちなみに先ほどの事例のとき、友利先生は何をしていたかというと、
  キャンプや外出の計画を立てるように他の学生さんに働きかけていました。
  彼女はそんなことは知らず「自分でできるようになった」と言っていたそうです。
  
  でも、それが良いんだと先生は言っておられました。

  「○○先生のおかげ!」なんて言われるより、
  「自分でよくなったんだ」と言ってもらえるように。
   セラピストは縁の下の力持ち!主役はCL!

   セラピストとCLの目標が食い違った時に、
   「こうすると良くなる」とセラピストが目標を変えて決めては
   セラピスト主体になってしまう。
   (病棟や施設内での介助量、時間が限られている事を理由にしないように
    したいですね)

   
   自分は北海道に行きたいのに
   ツアーコンダクターが「あなたには北海道より浅草の方がいいです」
   って言ったら、変ですよね?  
   
   CLの行きたい場所(目標)はCLしか知らない。
   行き方(手段)は,CLとセラピストがいっしょに考える。
   でもやっぱり,選択肢は多いほうが嬉しいですよね!
      

   ちなみに先の彼女は外来にも通っていたそうですが、
   「相手が臨床の先生だったら,目標が違っているなんて絶対言えない。
    だって、自分の為に一生懸命考えてくれているから」
   だそうです。
    目標がずれていたとしても,CLは言いにくいですよね
  
   とはいっても、『CLが言っていたから』とそのままCLの言いなりになる事も違う。
   あくまで「協業・パートナー」という意識を持つこと。
   尊重し、一緒に考えることが大切…難しいけどね。

   CL中心を実践するのにADOC、MOHO、CMOP等々...
   いろいろな手段はあるけれど
   大切なのは 
   押し付けるのではなく、”なんでやりたいか?”を共有すること


  作業療法は、人間の『作業遂行』を扱う職業。
  片麻痺や脊損などの『疾患』を扱うわけではない。
  作業遂行を扱うので医療の中でも不確実性はNo.1。
  他人にわかりにくい、客観性が低い、量で表しにくい、多種多様。
  けれども言い換えると
  個人にはわかりやすい、主観性が高い、質で表せる、個人的な支援ができるという事。
  難しいところにこそ大きなチャンスがある!

  『ADOC』や『みんなのリハプラン』も検索してみてね。



事例報告

個人情報の関係上、さらっと書きます。
友利先生の話を踏まえて読んでみてください。


1/ 脳梗塞により、仕事ができなくなった、
  「手が動かないから駄目だ」と言うCL
  目標を共有し、病棟でのトイレ動作は非麻痺側で行えるようになった!麻痺も徐々に改善!
  なのに、やっぱり「手が動かないからだめだ…」と言われる。満足度は上がらない。

  もう一度考え直し、
  「手が動かないから駄目だ」
  ⇒「手が動けば元の生活に戻れるのでは?」との思いがあるのではないか。

  今度は麻痺側も参加してトイレ動作練習をしてみると…本人も満足!
  今度は「頭が洗えなくて…」と
  作業を基準とした問題点を話されるように!
 
  機能の改善が作業に結びつかないと満足度は上がらない、ということを教えてくれます。


2/ 園芸が大好き!
  リハビリとは運動!というイメージのある方。
  精神疾患もあり、落ち込みも見られる。
  すぐに園芸を始めるのではなく、本人の希望する機能訓練も行いながら
  まずは「作業療法士」を知ってもらうように関係性の構築から始める。
  ”園芸の為の機能訓練”
  目的を、毎日の練習の中で少しずつ伝える。

  時期を見て園芸を行うことで、
  棟内でも自分の役割を見つけ、
  活動範囲を広げていけるようになった。

  大切なのは、①段階づけ、②失敗経験の予防、③タイミング。
  
  いきなり園芸を始めていたら失敗経験となり二度と立ち直れなかったかもしれない。



3/ 余命1ヶ月の方。次々に出来ていたことが出来なくなる。
  悲観的な発言が多くなる。もともと保育士をしていた。

  あるとき、対話の中で「紙芝居をしたい」と言われた。
  車椅子に乗ることすら難しい状態であった。

  セラピストは、
  CLとの少ない時間の中で対話を重ね、
  紙芝居のイメージを少しずつ共有していった。
  
  悲観的な発言は減り、主体的にやりたいことや希望が言えるようになった。
  発熱や血圧低下を繰り返す日々も続いた。
  その中で、主治医やご家族の了承を得て、リクライニング車いすに座り、
  病棟で紙芝居の発表を行った。
  大勢の人が来られた。
  「よかった」と周囲の人から言ってもらえた。

  「またやりたい」
  CLからはそんな言葉が聞かれた。
  その一週間後、永眠。
  ご家族は
 「本人のやりたいことをしてあげられた」と言われた。

  セラピストが関係性づくりの中で気をつけたことは
  ①体調を気に掛ける
  ②無理にすすめない
  ③いつでもできるように準備はしていた 
  ④できるだけ今後について話していた



内容は以上です。
失礼ながら開始時に事例紹介を聞いた時には、前座のように思えたのですが
そんなことはなく、素晴らしい紹介なのは
読んでいただいた皆さんにもわかると思います。

ここからはエキセントリックの感想です。

友利先生をはじめ、3人の方の話を聞いて
作業療法士としてこんな関わりが出来るようになりたい…!
僕はとっっっても悔しくなりました(笑)

と同時に、CLや家族の願い、病院や施設での現状、医師やケアマネの考え等が絡み合う中でいかにCLと目標を共有し、自発的に作業に取り組んで頂けるように促すかが、本当に難しいと感じます。多くの人の協力が必要なんです。院内や施設内だけではなく、地域や行政まで…。一人でできることには限界があるけど他の人の手助けがあってできることってたくさんあるから。
その為には、CL中心である姿勢と同時にそれを実現するための準備を少しずつ整えられるように僕も頑張りたいと思います。




あんこ


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