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あんこがはみ出るくらい日々奮闘中のセラピストたちのブログ。 ぜひご一読を!

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認知症の人の支援と作業療法士の役割

2014年8月17日
昨年度,秋田での全国研修会で
私に多大な影響を与えて下さった,
あの小川敬之先生が
なんと福島県にお越しになりました!!!!

福島でご講演を拝聴できることにとても驚きましたが,

実はあの震災以来,
先生は毎年のように災害支援のためにお越しになっていました.

心より感謝いたします.




認知症の人の支援と作業療法士の役割
~認知症初期集中支援チームと作業療法~

宮崎県延岡市にある,九州保健医療大学 教授
認知症初期集中支援チーム対応プロジェクト委員会委員長
小川敬之先生

ところどころ,緑色で載せた文章がありますが,
ネットでそのように検索していただくと

厚生労働省がアップしている資料にもたどりつきやすいです.
文章ではわかりにくいと思いますので,是非検索してみてください.



世界の認知症
WHO(2012)
認知症を呈する疾患はおよそ60種類
治療により改善するものもあるが,
世界の人口の100人に1人が認知症と診断
有病者数は現在3560万人
2030年には2倍の6570万人,2050年には1億人超と予測


イギリスでは
約70万人が認知症に罹患
それらによる年間経済コストは約3兆円
=認知症患者1人当たりを支えるためのコストが英国人一人当たりの平均所得を上回る

〇各国の認知症対策(開始時期)
 フランス    :プラン・アルツハイマー 2001年
 オランダ    :認知症総合ケアプログラム(第2期)2004年
 オーストラリア :認知症国家構想 2006年
 イギリス    :国家認知症計画 2009年
 デンマーク   :国家認知症行動計画 2011年
 アメリカ    :国家アルツハイマープロジェクト法 2011年


〇業務中心になっている認知症ケアを見直す動き
<パーソンセンタードケア>
 1997年 イギリスのTom Kidwood博士は,
 「認知症をもつ人を一人の人として尊重し,その人の視点や立場にたって理解して
 ケアしよう」と,当時の業務中心のケアに対して,人中心のケアの重要性を主張した
 日本では,国立病院機構菊池病院の精神科医,室伏君士先生
 1970年代 
 認知症患者への偏見が強かった時代から患者への精神的なケアの重要性を訴えてきた
<ユマニチュード>
 フランスで提唱され,日本でもテレビで特集されるなど最近注目されているが,
 日本には昔からあった考え方




〇日本の高齢者・認知症問題
・今後の人口推計では,
 高齢者数は増加するのに生産年齢人口(15歳~64歳)が激減
 65歳以上の高齢者のうち,認知症の人は推計15%.
・認知症有病率は,高齢になればなるほど上がる・・・長寿がリスクファクター

〇介護予防,認知症予防
 OTには何ができて,それで医療費がどの程度減額できて・・・というものを計算し,
 国に提出した
  国はリハビリに,一次・二次予防を期待している
  さらに,病気にならないような仕掛け作りを期待
  さらにさらに,通所はPTに,訪問はOTに期待
  活動的な状態では「一次予防」:啓発・教育
  虚弱な状態では,「二次予防」:生活機能の低下を早期発見・早期対応
  要介護状態では,「三次予防」:要介護改善,重度化予防,進行遅延
 
〇地域包括ケアシステム
 2025年を目途に,
 住まい,医療,介護,予防,生活支援が一体的に提供されるシステムを構築する
 これは,市町村や都道府県が地域の特性に応じて作り上げていく

国の実情が見えてきたところで・・・
H20年 厚生労働省
「認知症の医療と生活の質を高める緊急プロジェクト」が出された
 このプロジェクトは,
「認知症の人は精神病院や施設を利用せざるを得ない」という考え方を改め,
認知症になっても本人の意思が尊重され,
できる限り住み慣れた地域のよい環境で暮らし続けることができる社会の実現を目指す


〇認知症問題への介入手順
<現在>
 ①精神科薬の使用を検討,入院治療の導入
  認知症の初期症状に気付かないまま生活が続き,在宅介護に疲れて医療へ(事後的介入)
 ②服薬状況はどうか,他の疾患はないか
 ③周辺環境や関わり方
  BPSDなど沈静化した後に,その状態を維持するために生活環境を考える
   健全な部分への介入が遅れる,またはできない
   在宅介護に疲れた家族は,再度受け入れることは難しい⇒長期入院,施設へ
<将来像>
 ①周辺環境や関わり方
  ・家族の認知症理解はどうか
  ・環境整備,関わり方でBPSDの沈静化はできないか?(事前介入)
   ⇒早期からの関わりにより人となりや本人の希望を知ることが出来る
    環境整備に順応しやすくなる
    家族の不安感に添える
 ②服薬状況はどうか,他の疾患はないか
 ③精神科薬の使を検討,入院治療の導入
  ケアや環境整備では対応できないときの最終手段
  入院ベッドの空床化や3つのロック(ドラッグ,フィジカル,スピーチ)の危険性あり


<現在の認知症介入><将来の認知症介入>
手順のみではなく,構図も変化する
 今後の認知症施策の方向性について(平成24年6月18日)
 厚生労働省認知症施策検討プロジェクトチーム報告書P28 参考資料2

<現在>

 当事者や家族,
 かかりつけ医,
 一般病院や介護保険施設
 認知症疾患医療センターで何か起きたら,精神科病院
 という,事後的で,精神科病院に送るしかない状況

<将来>
 当事者や家族は
 地域(かかりつけ医と認知症初期集中支援チーム)でケアされ,
 必要時には病院・介護保険施設へ入院・入所,
 認知症疾患医療センターと連携し,検査,診断を受ける



『認知症施策推進5か年計画(オレンジプラン)』
  H25年~29年
  7本の柱があるが,
  初期集中支援チームを推進するためには1,2が要!
  また,チームが稼動しやすくなるために認知症ケアパスの作成を
   1.標準的な認知症ケアパスの作成,普及
   2.早期診断,早期対応
   3.地域での生活を支える医療サービスの構築
   4.     〃    介護    
   5.地域での日常生活,家族の支援の強化
   6.若年性認知症施策の強化
   7.医療・介護サービスを担う人材の育成


標準的な認知症ケアパス(状態に応じた適切なサービス提供の流れ)
 今後の認知症施策の方向性について(平成24年6月18日)
 厚生労働省認知症施策検討プロジェクトチーム報告書P27 参考資料1
 国は,
 「認知症の人ができる限り住み慣れた自宅で暮らし続け、
 また、認知症の人やその家族が安心できることをめざし,
 標準的な認知症ケアパスの作成と普及を推進」したい
 ケアパス作成に向け,まずは地域の社会資源の確認作業から開始




〇日本の認知症施策と作業療法の関連 
1.標準的な認知症ケアパスの作成・普及
  各市町村で,H25~26年度にケアパス作成を推進
  H27年度以降,介護保険事業計画に反映
  現在,包括支援センターに従事するOTへのアンケートや情報収集を行っている段階
  ケアパス作成に関わるOTはいるが,人数などは把握できていない
  

2.早期診断・早期対応(1)
  ・かかりつけ医認知症対応力向上研修
  ・認知症サポート医養成研修
  ・「認知症初期集中支援チーム」の設置
   H25年度 全国14か所でモデル事業
   H26年度 全国20か所でモデル事業
   H27年度以降 モデル事業の実施状況を検証,制度化を検討 
   ⇒現在,モデル事業には11か所,19名のOTが関与
    モデル事業以外の市町村でも多くのOTが関与

「認知症初期集中支援チーム」とは
  複数の専門職が家族の訴え等により,認知症が疑われる人や認知症の人及び
  その家族を訪問し,アセスメント,家族支援などの初期の支援を
  包括的,集中的に行い,自立生活のサポートを行うチームをいう
  目 的:認知症になっても本人の意思が尊重され,
      できる限り住み慣れた地域で暮らし続けるため,
      早期診断・早期対応に向けた支援体制を構築すること
  対 象:40歳以上で,在宅生活中.
      認知症が疑われる,もしくは認知症を持つ方で
      サービスを受けていない方・中断している方,受けているが対応に苦慮している方
  ツール:モデル事業で使用したアセスメントツール(国が提示してきた)
      訪問して,以下のツールを実施し,持ち帰って検討する
      ①地域包括ケアシステムにおける認知症アセスメントシート:DASC
      ②認知症行動障害尺度:DBD13
      ③zarit介護負担尺度日本語版のうち8項目:J-ZBL8
      ④身体の様子チェック票
  内容:・医療機関への受診や検査が必要な場合は,訪問支援対象者に
      適切な医療機関の受診に向けた動機づけを行い,
      継続的な医療支援に至るまで支援する
     ・訪問支援対象者の状態像に合わせた適切な介護サービスの利用が可能となるように
      必要に応じて介護サービスの利用の勧奨・誘導
      ・認知症の重症度に応じた助言
      ・身体を整えるケア
      ・生活環境の改善          この3つはOTの強み!

2.早期診断・早期対応(2)
  ・早期診断を担う医療機関は約500か所整備
  ・地域包括支援センターにおける包括的・継続的ケアマネジメント支援業務の
   一環として,多職種協働で実施される地域ケア会議の普及・定着

  認知症問題に早期に介入するためには,家族や地域の認知症理解が必要
  認知症啓発!!!
  ⇒一般の方にも認知症の方の行動の理解や心の様子が理解できるDVD作成!

3.地域での生活を支える医療サービスの構築(1)
  ・認知症薬物治療に関するガイドラインの策定
   医師向けの研修で活用
  ・精神科病院に入院が必要な状態像の明確化
   H24年度~調査・研究
  ・退院支援・地域連携クリティカルパス
   (日本精神科病院協会作成)
   医療従事者向けの研修を通じて普及を図り,H27年度以降,介護保険事業計画に反映
   OT記入欄はADL評価中心の位置付け

〇入院経過に伴うBPSD症状の変化
  BPSDは,入院期間が6ヶ月以内,6ヶ月以上それぞれの患者群で,ともに
  入院後1ヵ月時点でほぼ改善するということがわかった
  ⇒BPSDの治療に要する期間は約1ヵ月が妥当と考えられ,
   入院後すみやかに退院に向けたサービス調整を行う必要がある
   (厚生労働省 精神科医療について)

〇認知症リハビリテーション
 全国老人保健施設協会は,認知症を有する通所利用者対の調査を実施し,
 リハ実施群において
 「物をなくす,置き場所を間違える,物を隠す,同じことを何度も聞く,
  言いがかりをつける,季節外れの服装をする,日常的な物事に関心を示さない,
  徘徊」が改善した.
 ⇒認知症短期集中リハに効果あり
  現在はH27.1までに1ヵ月の入院による変化をデータ収集

上記より,
退院支援
重度認知症デイケア
短期集中リハにおけるチーム医療職の一員
医療・介護連携の役割
短期集中リハにおける役割
の担い手が必要であり,
入院期間を短縮するためのOTの役割を明確化する必要
・BPSD沈静化の具体的手段
・沈静化後の在宅復帰に向けたリハ
・地域との連携による包括的支援

〇認知症患者リハビリテーション料 1日240点
 施設基準に該当する施設として届け出た施設は,
 重度認知症の状態にある患者(Mランク相当)に対して,
 個別リハを20分以上実施した場合,
 入院後1ヵ月以内に限り週3回まで,1セラピスト18名/日まで算定可能
 
4.地域での生活を支える医療サービスの構築(2)
・認知症をもつ方が可能な限り,住み慣れた地域で生活を続けるために
「認知症対応型共同生活介護(グループホーム)」等の介護サービスの拡充を図る
・行動,心理症状等が原因で在宅サービスが困難となった場合に介護保険施設等
 地域のサービスがその担い手となることを推進する

⇒現状は,グループホームやその他福祉施設に勤務するOTが少なく,
 看取りも含めた終の棲家としての生活形態の援助に対する取り組みは少ない
 ただ,病院勤務のOTが介護施設に出向いてBPSD沈静化に向けた介入について
 施設職員とともに考えるなどの関わりを持つOTが増えてきた

5.地域での日常生活・家族支援の強化
・認知症地域支援推進員の人数:H24年度末175人,29年度末700人
・認知症サポーターの人数       :     350万人,   600万人
・市民後見人の育成や支援組織の体制は将来的に全ての市町村(約1700)で整備
・H25年度以降,認知症カフェの普及により当事者や家族への支援推進
⇒サポーター養成講座や認知症カフェのあり方と運営,家族支援の研究などにOT関与

6.若年性認知症施策の強化
・若年性認知症支援のハンドブック作成
・当事者の意見交換会開催
⇒具体的な対応や今後の方向性についてOT関与

7.医療・介護サービスを担う人材の育成
・認知症ライフサポートモデルの策定
 認知症ケアに携わる従事者向けの多職種協働研修で活用
・認知症介護実践リーダー研修
・認知症介護指導者養成研修
・一般病院勤務の医療従事者に対する認知症対応力向上研修
 


〇長期展望
①これまでの関わり推進
認知症初期集中支援チームへの積極的参加
③認知症初期集中支援チームの稼動や早期介入には「啓発」が要!
④医療系施設に勤務するOTが多いことから,
 認知症疾患医療センター地域型・診療所型(仮称)からの
 訪問リハや在宅支援の仕組みをモデル的に行う
⑤入院中の認知症患者の早期退院を目的とした作業療法の構築
⑥入院初期からのBPSD沈静化に向けた作業療法介入の構築
⑦高齢者の集える場所,コミュニティの構築
⑧⑦と連動し,介護予防事業への参画,運営
地域ケア会議への積極的な参加




★先生のライフワークを一部ご紹介
・「しゃべり場っ!」
 空き店舗を利用したコミュニティの場
 高齢者3名に語りを行ってもらう(回想法)
 3名は戦前から戦後にかけて商店街で商いをしている
 参加者は近所の住民.企画者は包括支援センター,市役所,NPO法人の職員,
 保健師,OT
 行政や包括と連携して実現した
・喫茶店をお借りして
 月1回,歌ったり,手品を見たりして過ごす.
 もちろん家族の同意を得て.
・認知症臨床研究会
 平均参加人数30名.介護職,ケアマネ,看護師,リハビリ,家族など.
 福岡,北九州,宮崎,沖縄,佐賀,大分,山口,鹿児島で開催
 先生が外と繋がる為に始めた!!

まだまだご活躍されているフィールドがたくさんある先生.
当事者とご家族のためによいことを実践されていくそのお姿にはとても惹かれます.




★★もっと寄り添いたいときに
アンパンマンが生まれた理由,知ってますか?
 「正義」はある日,逆転します.正しいと思っていたことが間違いだったり.
 でも,逆転しない正義がある.
 それは,「献身,愛」
 やなせ先生は,世界最弱のヒーローを作りたかった.
 ジャムおじさんとパン工場がなければすぐにやられちゃうけど,
 でも目の前にお腹がすいている人がいたら顔を分けてあげる.
 飢えはつらいから.
 自分だって弱いんだけど,そうしないといられない.あったかい気持ち.
 支援者としての力はもちろん弱いし,足りないけど,
 自分にも何かできることがあるならやりたい!


「ぼけても心は生きていることを知ってほしい」
  認知症老人を抱える家族の会著,中央法規出版
  social pain(社会的な痛み)の話題は泣きそうでした.
  
   親として,娘として,
   子供にもっとこうしてあげたい・・・
   でも,今の私にはできない
   お母さんにやさしくしたい・・・
   でも,なんでこんなこともできないの?って思ってきつく当たってしまう
   ごめんね.

著者不明,ロナルド・ダールステン寄稿
(スコットランドのある老人病院棟から見つかった詩)
 これを読んで,
 自分は何をしていたんだろう.まだ目を向けられるところはあったのに.
 と思いました.はっとさせられる文章です.ぜひ検索してご一読ください.

名前を忘れたことが大変残念ですが,
 有名な外国の47歳の方がアルツハイマー型認知症を発症
 自分の名前ではなく,「アルツハイマーになった人」と呼ばれるようになった
 発症後も活動を継続している理由
 「自分の固有名詞を取り戻すためです」


最後に・・・
『人生パズル』
パズルは1つずつ見ても何かわからない
でも,全部組み合わせたら絵になる
人生も同じ
たった一つの「認知症」というピース
「認知症」以外にもたくさんのピースがある
「認知症」があったって,喜んだり,安らぎを感じて生きられる
そんなピースを増やしていく関わりをしたい



文章中にも登場しましたが,
先生方(OT協会)の作成されたドラマ,
『二本の傘』がyoutubeにアップされています.

認知症の方とご家族,そして支援のあり方についての動画になっています.
作業療法士だからできることがたくさんあるということがよくわかります.
やれることを見つけられるドラマになっています.
素直な感想は,OTってすごい!!!です笑
バージョンがいくつかありますが,20分弱のものが全編です.
ぜひぜひ,ご覧くださいませ.


すみません,私の言葉ではアピール力半減です...(T  T)
でも,先生はやっぱりステキすぎました.
3時間の内容を書くと長くなってしまいましたが\(◎o◎)/
後半は先生のご活躍や当事者の方の思いを感じて
こちらもいろんな思いになりますよね.

最後に先生とお写真(*^^*)

やっぱりOTは,サイエンスとアートですね!
大好きです!!



あんこ


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発達OTMin仙台

ご無沙汰しております.
あんこの会です.

最近はあんこの定例会(エキセントリック,ひとぴーとの)はお休みしておりまして,
「拡大あんこの会」と命名して院内のリハスタッフ対象の勉強会を開催しております.
やっぱりみんなで,良くなっていきたいからね.


今回は・・・
2014年7月19,20日@東北文化学園大学 
3月のpreには参加できませんでしたが,本開催には参加できましたー!!!
「発達OTM」
みなさんご存じでしたか?
発達OTM=発達OTミーティング
研修会ではなく,ミーティングなんですね.
幹事の方々のあたたかい思いを感じます.
教える,教えられる,ではなく,みんなで臨床を高め合う.
素敵です.

いつものように初日と2日目の2本立てでいきたいところですが,
今回はすごいプログラム構成になっておりましたので,

1.OTMM
2.症例検討
3.幹事プレゼン
4.SV講義

5.懇親会        の順に書いてみます♪


めっちゃ長くなっちゃったーーーー!
でも,
めっちゃ楽しーーーーーーーーーーーーーーー\(◎o◎)/笑




1.OTMM


参加者が提出した質問に「参加者みんな」で答えちゃおう!という企画
「発達OTMミーティング」なので「OTMM」と表されるわけですね☆
ちなみに質問はランダムに司会が選択し,
回答者は質問者の希望orフロアからの立候補or司会の声かけ
で決まります.
和やかな雰囲気の中,たくさんの質問が紹介されました.


司会は,灘裕介先生(有限会社 あーと・ねっと) 

★PT,STとの役割分担はどうしている?
・PTはボイタ法,STは言葉,嚥下
・OTは姿勢管理,食事動作,ADL,上肢.
 OTの強みは意思を持った行動,行為.現場で
与えられたことをやるだけ.
 OT紹介時には,「生活全体を見るので,何でもいいので相談してください」と伝えている
  

★自分の臨床を相談できる場はある?
・ネットで「学ぶ会」にアクセスし,質問すると返答をくれる
・京都では学校の先生とコラボして,勉強会を開催
・OTネットワーク.ASIの研修会に参加する

★「死ね」とか,怖い言葉を話すとき,どう対応する?
・その言葉を使う背景,理由を探り,適切な言葉で代弁する.
・かっこいいと思って使っていることもあるので本当にかっこいい言葉を教える
・その言葉の本来の意味を一緒に考える.

★母から「若手」と認識され,こわい視線が送られる・・・
・地道に信頼を努力を.
・自分の臨床を言葉で伝える努力を.
・親の子どもの捉え方が影響する.良いところに目を向けてもらえるような関わりを.
・子どもが失敗したときには理由を整理して伝える. 

★ブランコに一緒に乗りたがるお子さん・・・自分は気持ち悪くなって・・・
・保護者や他児との交流の機会に利用する

★保育園の先生との情報共有の仕方ってどうしてる?
・主に電話.申し送り書は相手の状況がわからないので書きにくい.
 まずは相手に話させることで,相手の重視していることを知る.そこから話題を展開する.
・制度を知っておくと先手が打てる.
・教育委員会の中にある研究所が仲立ちしてくれる.訓練の目的や内容を
 その機関を通じて保育園や学校と繋がる.
・特別支援学校にいるOTは,病院や施設でやっているOT内容を解釈して伝えることが役割と
 解釈している.母や先生経由でOTの内容が伝わってくるが,内容よりも意図を伝えてほしい.
 やっぱりOT同士の連携が一番.
・外部専門家として支援学校に訪問している.そこでPT,STとも話す場になることがある



2.症例検討会
1ケースについて3回に分けて情報を与えられ,
2日間に渡って予め決められた10グループに分かれてディスカッション.

箇条書きは全てディスカッションの話題です.


①個別訓練場面観察
 症例の基本情報,お母さんの主訴,担当者の解釈を聞いてから
10分ほどの個別訓練の動画を見て.
・個別訓練のようすからのできていること,できていないこと,発達特性の評価

②集団訓練場面観察
・個別場面と比べ,集団場面でできていること,できていないこと,発達特性の評価
・保育園での生活場面を想像する.できそうなこと,難しそうなことをイメージ
・自分が担当者だったら,目標はどうする?

③保育園場面の動画観察
・想像していたことと実際の状況を比較.
 ズレはなかったか?ズレていれば,なぜズレたのか?
・全ての場面を見て
 グループの意見として最終的な目標をまとめる,そう設定した理由,その実現に伴って期待される効果を挙げる.


1場面でしか評価していないってこわいことですね.
お腹いっぱいで気持ち悪くなりました.
1症例に2日間どっぷり.
これが本当は必要なことなのだけど
全然できていないから気持ち悪くなるんだよなあ.



3.幹事プレゼン「私の普段の作業療法場面」
小松 則登先生
(愛知県心身障害者コロニー中央病院) 

主訴から問題点を評価し,治療方針を決定,治療,日常生活行動の改善を.


 主訴 =目に見えている行動.行動特性

 問題点=認知特性.行動特性の背景にあるもの


作業療法士が作業療法士でいるためには,
多くの人にわかりやすい説明をすること
共通共有できるスキルを持つこと
エビデンスに基づいた治療をすること・・・

でも,
結局は自分の臨床をOTが自身が説明できるか?
また実行し,効果の有無,今後の方向性について話せるか




症例を通して小松先生の臨床と考え方を紹介

母の主訴は,「テレビや冷蔵庫,電子レンジなどを壊すのをやめてほしい」

症例は,物への志向性が強く,人への関心に乏しい
やりとりのしやすさは
 「ヒト」は変化し,捉えどころが難しい
  可操作性が低い
 「モノ」は同じスキルで対応しやすい
  可操作性が高い.
目の前のセラピストが,自分と同じ構造体である「ヒト」だということへの気付きが薄いため
ヒトとの関わりが少なくなる.
自己の身体を使用したモノへの関わりは操作しやすい
モノは同じ扱い方で同じように反応してくれる

音声言語でのやりとりは困難
非言語的なやりとりを通して自己中心的自己完結型の身体から
モノだけではないヒトとのやりとりのできる身体へ.
感覚ー運動を媒介にした外界とのコミュニケ―ション能力が
向上していくことで,刻々と変化する環境から知識を蓄積できるように関わる

症例の治療ゴールは三項関係の成立
症例はセラピーに拒否が続いていたが,
徐々に受け入れ,
最後にはヒトに対して能動的に発信するように



コミュニケーションは「身体」から
「身体」を常に組み換え,刷新していくことで,
人間の「世界」は,固定的な環境の世界ではなく,
人間価値を本質とする「関係の世界」になる    2010 竹田

赤ちゃんは口にいれたものが食べものであるか否かを確かめる経験を何度も繰り返し,
経験値を上げていく.
身体による知覚体験の時間的な累積が感じ方や行動,態度,ふるまいの網の目になる
段階を踏まえずに発展しなければ身体図式は広がりを見せない.
「確かめる体験」を繰り返している状態は常同行動,自己刺激行動から抜け出せずにいる状態で経験値を上げることができない.
=知覚体験の累積が滞ってしまうことで網の目を作ることを妨げるのでは?
セラピストは子供と外界をつなぐ触媒の役割を果たし,アクティビティを巧みに用い,
児の知覚体験を広げることをセラピイの目標に

知識
=子ども自身が捉えていく「動的な認識の過程」=「知っていく過程」
=知覚+認識
=主体的に体感してわかること+認識されたこと
=認識したことが蓄積されていくと,知識になる



環境から与えられる情報が同じでも,その情報を幅広く明確に捉えて表現できるかは
知覚者が決定すると考えるなら,
作業療法士はこれらの情報を加工し,受け取りやすくする技術を持って治療にあたる必要がある


先生のお言葉,
「作業療法士なんだから,作業療法をすればいい」
嬉しかったです.

かなり省略して記載しています,すみません.
とことん個別のセラピーにこだわる先生のお姿を食い入るように見ていました.
SHIZUKAは10月にも1月にも小松先生に会いに行きます.



4.SV講義 「地域で行うOT」

今回のOTM SV 
福田恵美子先生
(NPO法人 小山こども発達支援センターリズム園) 


〇市町村の健診制度
 概ね保健所,保険センターにて1歳半,3歳,5歳で実施される.
 発達障害のスクリーニングは1歳半

〇教育委員会就学児健診制度
 就学前年度11/30までに実施されるが,障害のある場合は6~7月頃より相談開始
 4月小学校入学を控えた児童全員に,1/31までに就学先が各家庭に通知される
 
 特別支援教育は,2007年から制度化されたもの
 そこに登場する用語「通常学級」:40人学級.支援員をつけられる
          「通級による指導」:通常学級に在籍しながら特別指導を受ける
          「特別支援学級」:通常学校に特別学級接地.個別教育,少人数

 先生方の使用する言葉で表現する力を身に付ける
 評価しても,その数値だから生活にどう影響するのか?  

〇発達障害の定義の相違
 各名称にはまだコンセンサスが得られにくく,
 「障害」か,「症」かは医師の判断によるところが大きい.

〇発達障害者支援法(H16)

 法律の目的
 =発達障害児(者)の早期発見,教育と就労の支援 


「発達障害」
 =自閉症,アスペルガー症候群,その他の広汎性発達障害,学習障害,注意欠陥多動性障害,  その他これに類する脳機能の障害であって,その症状が通常低年齢において発現するもの
  吃音や運動能力障害のある児は普通級に多くいるが,対象として基準には挙げられていない「発達障害者」
 =発達障害があるために日常生活または社会生活に制限を受ける者
「発達支援」
 =心理機能の適切な発達を支援し,円滑な社会生活を促進すること

 

〇発達障害者支援法の概要
 就学前:乳幼児健診等による早期発見,早期支援
 就学中:就学児健診で発見,適切な支援
     文科省を通じて学校や教育委員会にOT参入も検討中
 就学後:適切な就労の機会の確保,地域生活の支援,発達障害者の権利擁護

〇DSM-5の診断基準
 2013.5改訂された.
 大きな変更点
 ・自閉症,アスペルガー症候群,PDD-NOS⇒ASDにひとくくりに
  ASDの診断基準に該当しない児は,
   社会的コミュニケーション障害/言語障害/ADHD
 ・ADHDの発症が7歳未満⇒12歳未満に
  また,ADHDの合併が認められた
 ・こだわりと感覚過敏の存在が重視
 ・DSM-Ⅳ-TRとの一致率は,89~93%. 
  診断名の変更に伴う影響が大きく,
     ①知的能力障害群
     ②コミュニケーション症群/~障害群
     ③自閉スペクトラム症/~障害
     ④注意欠如・多動症/~性障害
     ⑤限局性学習症/~障害
     ⑥運動症群/~障害群
     ⑦チック症群/~障害群
     ⑧他の神経発達症群/~障害群

〇障害者総合支援法
 H25.4~「障害者自立支援法」
     「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」として,
     「障害者総合支援法」に変更

〇小児療育機関の今日
 児童福祉法・障害者自立支援法の一部改正により, 
  ★各入所施設(肢体不自由,重症心身障害,知的障害,盲,聾唖,自閉症)が
   障害児入所施設(福祉型・医療型)に統合
  ★各通所サービス(知的,肢体不自由,難聴,重症心身障害)が
   児童発達支援センターor事業所(福祉型・医療型)に統合

また,年齢により,
  18歳未満:児童福祉法による児童発達支援事業
  18歳以上:自立支援法による生活介護事業

>法改正のポイント
 1.障害児施設の一元化
 2.障害児通所支援の実施主体を市町村へ移行
   居宅サービスと通所サービスの一体的な提供も可能に
 3.放課後等デイサービス,保育所等訪問支援の創設
   学齢児の放課後支援の充実,障害児の保育所などの利用ができるように
 4.在園期間の延長措置の見直し
   18歳以上の障害児施設入所者に対し,自立支援法に基づく障害福祉サービスが提供
   現在の入所者が退所させられないよう注意

>障害児入所支援
 疾患や障害により分かれていたが,
 複数の障害に対応できる,障害児入所支援(福祉型・医療型)に一元化

>障害児通所支援
 児童デイは,
  障害者自立支援法により市町村単位
 知的障害児通園施設,難聴幼児通園施設,肢体不自由児通園は,
  児童福祉法により都道府県単位だったが,
  児童福祉法による市町村単位に一元化

 ①児童発達支援
  a:児童発達支援センター
  b:児童発達支援事業
 ②医療型自動発達支援
 ③放課後等デイサービス
 ④保育所等訪問支援

>障害児・者を対象としたサービス
 障害者自立支援法による総合的な自立支援システムの全体像
 2通りあるが,どちらも実施主体は市町村単位
 総合的な自立支援システムの全体像については各市町村のホームページ参照

 1.自立支援給付
   介護給付,訓練等給付,自立支援医療,補装具

 2.地域生活支援事業
   相談支援,コミュニケーション支援,日常生活用具の給付又は貸与,
   移動支援,地域活動支援センター,その他日常生活又は社会生活支援

>相談支援事業
 支給決定過程の見直しにより,「障害児支援利用計画」の作成が義務化
 
 利用者が市町村にサービス利用申請⇒指定特定相談支援事業所で
 「サービス等利用計画案」を作成⇒市町村に提出⇒市町村から支給決定⇒
 指定特定相談支援事業者は担当者会議を開催,計画に基づいてサービス開始

〇特別支援教育への関心の高まり
 1994 特別なニーズ教育に関する世界会議
    インクルーシブ教育を方向づける「サラマンカ声明」の採択
 1995 障害者プランノーマライゼーション7か年戦略
    特別ニーズ教育学会の発足

1990年代から「特別な教育的ニーズ」という言葉が広く使われるように
(文科省がよく使う言葉)

〇発達障害実態調査結果
文科省の統計によると,
教育上配慮を要する児童生徒 (2002)6.3%⇒(2012)6.5%
特別支援教育に在籍する児童生徒   1.2%⇒     1.4%
やや増加

〇自立活動
>目標
 個々の児童または生徒が自立をめざし,障害による学習上または
生活上の困難を主体的に改善・克服するために必要な知識,技能,
態度及び習慣を養い,もって心身の調和的発達の基盤を培う.

>概要
 担任は一人一人の実態を的確に把握,個別の指導計画を作成し,
それに基づいて指導を展開しなければならない.
 校内では,専門的な知識や技能のある教師の適切な配置,
教師の養成,適宜外部専門家との連携を図る

>内容
 6つの区分
 ①健康の維持(養護教諭,Dr,Ns,PT,OT)
 ②心理的な安定(心理,OT)
 ③人間関係の形成(心理,OT)
 ④環境の把握(心理,OT)
  適応行動=生理的現象+人・物的環境
 ⑤身体の動き(PT,OT)
 ⑥コミュニケーション(ST,OT)

どれもOTが入っている!!!


〇校内委員会とコーディネーターの任務
 個別支援教育を進めるにあたり挙げられる課題
①管理職,教員全体の理解
②校内の支援体制の構築
③特別な支援が必要な子の判断
④実態把握,事例検討の方法
⑤具体的な支援の手立て
⑥本人,保護者の理解
⑦周囲の理解
⑧個別の指導,教育支援計画の作成
⑨関係機関との連携(校長の理解があるとやりやすい)
*コーディネーターが孤立しないサポート体制の検討,またコーディネーターの役割の明確化が必要

〇今後の特別支援教育
①障害があるから特別支援教育が必要とは限らない
②先生方は,今までも児の集団適応の困難さに気付いた時,個別対応を心がけてくれている
③特別支援が必要か否かの判断
 障害の有無による判断ではなく,適応困難の状況を起こしている特性や状態臓により判断する
④授業についていけない児に対して,分かりやすく参加しやすい学習環境や指導方法を工夫していく教育=全ての児に有用


〇通常学級の指導と二次障害予防,私見
①通常学級の特徴
 一緒に活動することを当たり前に期待される
 集団から外れた児に叱責で修正を促す傾向があり,二次障害の予防が重要
②通常学級での教師の言葉かけ,関わり方
 教師を見て,児童は真似をする.教師の厳しい対応は,児同士も厳しい関係性に
                学級全体がピリピリすると居心地の悪い環境に
 児の失敗体験の繰り返しにより,児は不全感から自信や意欲が喪失,自己評価の低下を招く
                二次障害の発生                

〇教育委員会と作業療法
①専門家チーム,巡回相談の一員として携わる
 作業療法士は,地域の小中学校訪問,教員との面談,学校生活場面の観察や
 個別評価を行うことで,
 評価内容やそれに基づく支援案を教員や保護者に報告
 保育所,幼稚園,小学校,中学校,通常の学級,特別支援学級,通級指導教室等との
 連携により,二次障害の軽減を図るべく協働する姿勢を.
②就学指導委員会や教員研修に携わる 
 専門家チームの一員として,巡回相談の依頼を受ける
 →学校と打ち合わせ
  1.訪問日時や左観察する授業(児の特異・不得意)の決定
  2.学校訪問の内容決定
    保護者との事前面談の必要性は?
    個別評価は?
    授業中に介入する可能性は?
  3.担任と保護者の主訴の確認
  4.対象児の情報収集(全国的に欠ける傾向にあり)
    医学的情報,生育歴,療育歴,各種検査結果
 →面談,観察,個別評価(支援内容の判断や方法の検討,提示)
 →報告(面談,書面)

〇保護者との関係における貢献
 学校側が特別な支援が必要と判断しても,保護者の了解が得られない
 →保護者が相談できるような信頼関係の構築,適切な情報交換
  学校が家庭の問題を指摘し,保護者が学校の対応の不満を述べていては解決は望めない

〇作業療法士が貢献できるであろうこと
A 集団(学級)における個の支援
  集団の中で実施可能な課題の提案,学級の雰囲気や構成メンバー,学級の運営状況や
  担任の考え方.個性を知る必要
B 個に関わる
  専門的な評価(観察・検査の総括)+実際場面の共有
 →口頭説明に加え部分的にでも実践し,観ることで教職員の理解が得られやすい場合も多い
C 情報を引き継ぐ
  就学,進学において専門家としての意見を求められることも.
D 連携 
  医学的な治療状況や方針を把握し,学校生活場面での配慮や対応に繋ぐ
  学校を含めた各機関の間や保護者と各機関を繋ぐ
E 理解
  研修会で講師を行う.主な内容は発達障害児の医学的観点から考える行動特性とその解釈


〇発達OTの課題は?
 1.実際的な支援
 2.今の状態を周囲に認めてもらえる
 3.肯定される
 4.精神的な援助
 5.ケアをする側,される側の精神的な連携と責任
 6.財政,法律,宗教,医学,心理等に関する助言者との相談,協調
 7.現前性:たとえ実際にできることがなく,希望そのものが失われた場合でも
       存在としてその場にいること


〇保育所・幼稚園との連携
 1.保育所,幼稚園の教育的支援
   診断名,障害名から判断しながら児の特性,資質,性格,心理状態を含めて
   総合的に捉える必要がある
 2.医療職,心理職の連携
 3.専門家チームとして協力
   保健,医療,福祉,教育機関と児に関する情報を共有.
   共通言語による理解を深める
   専門職のアイデンティティが現場で応用できる方法をともに考える
   他職種と協働できる資質




5.懇親会

一次会
まさかの粘土作り笑
くじで各班に「各スポーツと仙台の駅弁を再現せよ!」とのお達しが\(゜ロ\)
楽しすぎますー!
さすが作業の力.あっとゆー間にみんな仲良し★



二次会
またまた素敵な出会いがたくさんです.
福島県内で同じような悩みで奮闘される方や山形の森先生,熱い愛知の方,
また,横浜の松本先生のおかげで小松先生と直接お話できました.
感謝.



発達OTMは,教えてもらったこと,というより

感じてきたことが多いです.

連携については耳が痛いお言葉が多かったなあ笑
発達を極めている方々って,ほんとすごい.
私は臨床に向かう気持ちが全然です.
1月のセラピスト養成講座に向けて精進します.


 


あんこ



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福島県作業科学研究会

どうも、エキセントリックです。
5/30
熱い思いを秘めた後輩と2人で
福島県作業科学研究会に参加してきました!


この会、『作業科学』と銘打ってはいますが、
作業科学だけでなく,臨床に活かせるものを皆で学ぼう!
という素敵な会です。そう侍OTこと齋藤先生が言っておられました!
熱い人ばっかり。


前半は3人の方の事例紹介。
後半は友利先生の講義。

* 構成上、友利先生の講義から紹介させて頂きます↓ *



明日からできる!

クライエント中心の作業療法

「人は作業を通して健康になれる」ことを,まずはセラピスト自身が信じる!

1)作業と健康


  「健康」ってなんでしょうか

   問.乙武さんは「健康」か?

     

   多くの方は”健康である”と答えるようです。
   では、身体機能面に限局すると重度の障害がある
      乙武さんを健康であると判断するのはなぜか?
   
   …自分がやりたいことが出来ているからなんですよね!

   そうなると、
   病気や障害がある = 不健康
   という図式に違和感が出る。
   
   病気や障害があると、 
   友達と話したり 携帯でメールをしたり睡眠をとったり、
   いつも通りのこと(作業)ができなくなる
   
   不健康とはやりたい作業ができないこと
   その原因の一つが病気と考えるとスッキリ!
   (震災などで環境を制限され、やりたいことが出来なくなるのも不健康かな、と
    エキセントリックは思いました)

   
   人は生きがいをもっていると生存率が上がる、という実験結果もあるそうです。
   その人にとって意味のある作業(生きがい)があるかどうかで
   長生きできるか、変わるわけですね。
   セラピストが支援したことで元気になるかどうかの根拠はまだないらしいので
   皆さんいっしょに頑張りましょう!

2)クライエント(CL)中心とは?

  先生の学校に在学中の,不運にも骨折した学生さん。
  そんな彼女にCL役をお願いし、COPMの実技をしてみた。

  彼女の感想は、
  「自分のできないことがわかってショックを受けた」だそうです。
    …面接をするときは細心の注意が必要です

  気を取り直し、
  面接結果を踏まえて、先生とOT学科の学生さん全員で治療計画をたてました。
  彼女の「キャンプや外に出かけたい」といった希望に対し、
  「介助者が手伝って外出する」という計画
  
  しかし,
  本人だけは「両手に松葉杖なので雨の中傘をさすのは難しいけど
        自分で車の運転をして外に出かけることはできる。
        今の下肢の状態ならそれくらいはできるようになる」
  と自分で予測と計画を立てた。
  その後、友達とキャンプに行けたそうです。

  目標が決まれば、必要なことはクライエント自身で気づく
  つまり、

  人は自分で健康になれる力を持っている!!   

  それをひきだすのがセラピストの役割!
  CLと信頼関係を築き、CLの言葉を理解すること、
  そして潜在的な力を発揮できる機会をつくること
  適切な作業体験
  ⇒CLの能動的な参加
  ⇒適切なフィードバック


  ちなみに先ほどの事例のとき、友利先生は何をしていたかというと、
  キャンプや外出の計画を立てるように他の学生さんに働きかけていました。
  彼女はそんなことは知らず「自分でできるようになった」と言っていたそうです。
  
  でも、それが良いんだと先生は言っておられました。

  「○○先生のおかげ!」なんて言われるより、
  「自分でよくなったんだ」と言ってもらえるように。
   セラピストは縁の下の力持ち!主役はCL!

   セラピストとCLの目標が食い違った時に、
   「こうすると良くなる」とセラピストが目標を変えて決めては
   セラピスト主体になってしまう。
   (病棟や施設内での介助量、時間が限られている事を理由にしないように
    したいですね)

   
   自分は北海道に行きたいのに
   ツアーコンダクターが「あなたには北海道より浅草の方がいいです」
   って言ったら、変ですよね?  
   
   CLの行きたい場所(目標)はCLしか知らない。
   行き方(手段)は,CLとセラピストがいっしょに考える。
   でもやっぱり,選択肢は多いほうが嬉しいですよね!
      

   ちなみに先の彼女は外来にも通っていたそうですが、
   「相手が臨床の先生だったら,目標が違っているなんて絶対言えない。
    だって、自分の為に一生懸命考えてくれているから」
   だそうです。
    目標がずれていたとしても,CLは言いにくいですよね
  
   とはいっても、『CLが言っていたから』とそのままCLの言いなりになる事も違う。
   あくまで「協業・パートナー」という意識を持つこと。
   尊重し、一緒に考えることが大切…難しいけどね。

   CL中心を実践するのにADOC、MOHO、CMOP等々...
   いろいろな手段はあるけれど
   大切なのは 
   押し付けるのではなく、”なんでやりたいか?”を共有すること


  作業療法は、人間の『作業遂行』を扱う職業。
  片麻痺や脊損などの『疾患』を扱うわけではない。
  作業遂行を扱うので医療の中でも不確実性はNo.1。
  他人にわかりにくい、客観性が低い、量で表しにくい、多種多様。
  けれども言い換えると
  個人にはわかりやすい、主観性が高い、質で表せる、個人的な支援ができるという事。
  難しいところにこそ大きなチャンスがある!

  『ADOC』や『みんなのリハプラン』も検索してみてね。



事例報告

個人情報の関係上、さらっと書きます。
友利先生の話を踏まえて読んでみてください。


1/ 脳梗塞により、仕事ができなくなった、
  「手が動かないから駄目だ」と言うCL
  目標を共有し、病棟でのトイレ動作は非麻痺側で行えるようになった!麻痺も徐々に改善!
  なのに、やっぱり「手が動かないからだめだ…」と言われる。満足度は上がらない。

  もう一度考え直し、
  「手が動かないから駄目だ」
  ⇒「手が動けば元の生活に戻れるのでは?」との思いがあるのではないか。

  今度は麻痺側も参加してトイレ動作練習をしてみると…本人も満足!
  今度は「頭が洗えなくて…」と
  作業を基準とした問題点を話されるように!
 
  機能の改善が作業に結びつかないと満足度は上がらない、ということを教えてくれます。


2/ 園芸が大好き!
  リハビリとは運動!というイメージのある方。
  精神疾患もあり、落ち込みも見られる。
  すぐに園芸を始めるのではなく、本人の希望する機能訓練も行いながら
  まずは「作業療法士」を知ってもらうように関係性の構築から始める。
  ”園芸の為の機能訓練”
  目的を、毎日の練習の中で少しずつ伝える。

  時期を見て園芸を行うことで、
  棟内でも自分の役割を見つけ、
  活動範囲を広げていけるようになった。

  大切なのは、①段階づけ、②失敗経験の予防、③タイミング。
  
  いきなり園芸を始めていたら失敗経験となり二度と立ち直れなかったかもしれない。



3/ 余命1ヶ月の方。次々に出来ていたことが出来なくなる。
  悲観的な発言が多くなる。もともと保育士をしていた。

  あるとき、対話の中で「紙芝居をしたい」と言われた。
  車椅子に乗ることすら難しい状態であった。

  セラピストは、
  CLとの少ない時間の中で対話を重ね、
  紙芝居のイメージを少しずつ共有していった。
  
  悲観的な発言は減り、主体的にやりたいことや希望が言えるようになった。
  発熱や血圧低下を繰り返す日々も続いた。
  その中で、主治医やご家族の了承を得て、リクライニング車いすに座り、
  病棟で紙芝居の発表を行った。
  大勢の人が来られた。
  「よかった」と周囲の人から言ってもらえた。

  「またやりたい」
  CLからはそんな言葉が聞かれた。
  その一週間後、永眠。
  ご家族は
 「本人のやりたいことをしてあげられた」と言われた。

  セラピストが関係性づくりの中で気をつけたことは
  ①体調を気に掛ける
  ②無理にすすめない
  ③いつでもできるように準備はしていた 
  ④できるだけ今後について話していた



内容は以上です。
失礼ながら開始時に事例紹介を聞いた時には、前座のように思えたのですが
そんなことはなく、素晴らしい紹介なのは
読んでいただいた皆さんにもわかると思います。

ここからはエキセントリックの感想です。

友利先生をはじめ、3人の方の話を聞いて
作業療法士としてこんな関わりが出来るようになりたい…!
僕はとっっっても悔しくなりました(笑)

と同時に、CLや家族の願い、病院や施設での現状、医師やケアマネの考え等が絡み合う中でいかにCLと目標を共有し、自発的に作業に取り組んで頂けるように促すかが、本当に難しいと感じます。多くの人の協力が必要なんです。院内や施設内だけではなく、地域や行政まで…。一人でできることには限界があるけど他の人の手助けがあってできることってたくさんあるから。
その為には、CL中心である姿勢と同時にそれを実現するための準備を少しずつ整えられるように僕も頑張りたいと思います。




あんこ


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『ALSの会』に参加して②

ここからは『ALSの会』に参加して感じたことを書きたいと思います。

ALSの会があることはずっと前から知っていましたが,
なかなか参加する機会がありませんでした。
ようやく調整がつき、参加することができました。

ずっと行ってみたかったけど、
いざ行くとなるとなんだか緊張する…どんな雰囲気なんだろう。


会場に到着
すでに何名か患者さんがいらっしゃいました。
この日はすごく寒くて…いつも以上に人工呼吸器をつけての外出は大変だっただろうなぁ…

患者さん7名(うち人工呼吸器を装着された方は2名)、ご家族、支援者、難病ボランティアの方々、医療従事者、看護学生…と40〜50人の参加でした。

最初は会長のご挨拶。
スピーチバルブをつけて深呼吸をしながら一言一言を絞り出しながら挨拶をされていました。

挨拶が終わると、まずは年に一回のALSの会の総会が開かれました。
活動報告、決算報告、そして次年度の予算案などが次々に可決されていきました。

ちなみに、ALSの会では年に3回の定期交流会が開催されていて、その他にコンサートを聴きに行くなどの外出支援などの活動を行っていました。

スムーズな議事の進行により総会は無事終了!
次は交流会です。

交流会ではボランティアの方々が歌や踊りを披露するなど大盛り上がり!



昼食を挟んで、午後からは談話交流会(意見交換会みたいなものでした)。

保健師さんがコーディネーターとなってその場を盛り上げます。
話題となったのは以下の2点でした。

①コミュニケーションツールについて
  一般的には伝の心やハーティーラダーを使用してる方が多い。伝の心もハーティーも読み上げ機能が付いているけど、できれば自分の声で読み上げることができるようになれば!と強い希望が!
  これに関しては市販されてるソフトがあるらしいんだけど、ものすごく高いそうです…(マンガの「宇宙兄弟」とか先日のドラマ「僕がいた時間」でありましたね!)ただ会長によればある方が作成したソフトを無償で貸し出すことができるとのこと!
  まだまだ知らないことが多いなあと改めて実感。そしてもっともっと技術が進歩して誰もが負担なく使える資源が増えるといいですよね。

②ヘルパーの利用について
  これに関してはかなり地域格差があるとのこと(私たちの地域はあまりヘルパーなどの資源が整ってないらしい…)。特に早朝や夜間のヘルパー利用を希望する方が多い中、それに対応した事業所がなかったり、また介護保険サービスや障害者総合福祉法のサービスにも制限があるのだとか。

  制度のことはホント難しい…もっともっと勉強しないとな(´•ω•`)
  やっぱり知識は武器になるし、知らないと専門職として何もアドバイスできないよね。
  特に在宅生活を支える私たちとしてはなおさら。

談話交流会は2時間近くに渡り、あっという間に終了。
春のALSの会はお開きになりました。


今回初めてALSの会に参加して、いろいろな患者さんと触れ合うことができ、またいろいろな思いを聞くことができ、貴重な1日になりました。ただ制度や社会資源に関しては自分が知っているようで知らなかった、理解しているようで全く理解していなかったことが改めて浮き彫りになりかなりショック(´Д` )

実際に地域で働いているのに…アンテナが低かったのかなぁ。

もっともっと患者さん、利用者さんと向き合える、寄り添える
理学療法士になれるように頑張らないとね!



最後に…
今回のALSの会で前編でも書いた患者さんに再会できるのではないかと期待して臨んだのですが今回は会えませんでした(´•ω•`)
ただ、5年ぶりにある患者さんに再会することができました!その方も覚えていてくれてホントに嬉しかった(^^)だいぶ症状が進行し、ほとんど自分のことはできなくなってしまったけど、Blogを書いていて同じALSの方や難病の方とコミュニケーションをとっているそうです!

みなさんすごくエネルギッシュに生活されているんですね(^^)
逆にこっちが元気づけられました(^o^)


最後まで読んでいただきまして,ありがとうございましたm(_ _)m


あんこ


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『ALSの会』に参加して①

先日,初めてALSの会に参加してきました。




いきなり話は脱線しますが、まずはALSという疾患との出会いから。

6年前
療養型病院に勤めていた頃に、越冬目的で入院してきた患者さんを担当したのが始まりでした。

それまではALSという疾患については教科書で読んだことがあるくらいで、ほとんど理解していませんでした。
進行性の疾患、筋力低下、呼吸障害、嚥下障害、人工呼吸器…正直そんな程度だった

ある日のリハ中,
その患者さんから「人工呼吸器を着けるか悩んでいる」「どう思う?」と聞かれました。
そのとき,私は何も言えませんでした。
知識もなかったし、人工呼吸器を装着して在宅で生活している患者さんのイメージもなかったから。


その日以来、私はALSについて、人工呼吸器について、そして在宅生活について必死に勉強しました。少しでもその人の力になりたかったから。

私が訪問リハへの異動希望を出し始めたのもその頃からでした。その人の住む地域で生活を支えたかったから。(そのALSの方は訪問の範囲外だったんだけど)



その半年後,脳卒中急性期チームに異動になり、すぐにその方と再会しました。
ただ,症状の進行はとても早くて,気管切開をし人工呼吸器を装着していました。

生きていくには仕方が無いことだし、そうなることはわかっていたんだけど、すごく悲しかった。ALSはその方からいろんなものを奪った。声を奪った。のど自慢に出るほど素敵な歌声だったのに。


その後また担当することになり、車椅子を作成、環境調整をして在宅に帰ることができました。
退院してからは定期的に社会的入院をしながら生活していたけど、現在はどうしてるんだろう…



前置きが長くてすみません(´•ω•`)
②へ続きます


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