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脳とパーキンソン病
- 2013/12/03 (Tue)
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脳とパーキンソン病
PDは進行性の基底核変性疾患.
正常では,
基底核内の直接路と間接路のバランスによって大脳皮質は制御される.
PDでは,
黒質のドーパミンが変性し、
基底核からの抑制性出力が増加(直接路が抑制できない).
過剰な出力(間接路は促進)により,
意思発動(前頭前野),運動プログラム生成(6野),随意運動の指令(4野)が
それぞれ低下する.
これにより,随意運動の速度が低下し,運動量は減少,
筋緊張抑制系の活動が低下することで筋緊張は亢進.
歩行運動系に対する過剰な抑制は歩行障害を誘発する.
一般的に言われる主な運動障害は,無動,振戦,固縮,姿勢反射障害.
しかし運動機能よりも自律神経症状(迷走神経メイン:嚥下障害、発汗)が
先行しやすいことから,発症に気づかないことも多い.
【病態】
中脳、橋、基底核、青斑核の神経細胞数が減り、白質化する.
基底核:運動の出力量の調節
基底核の異常は多くの場合に不随意運動を起こす
(=随意運動の実行に深く関わる)
青斑核:PDの経過の中で黒質と同様に変性を認めることがあり、
すくみ足など一部の症状との関連が推定されている
黒質の細胞数は老化に伴って減少.
健常者でも80歳代では細胞数が40%以下になることがある.
こうなるとPD様症状が出現.
【症状のメカニズム】
4つの基底核ループ
①運動ループ
大脳皮質運動関連領域→被殻→淡蒼球内節・黒質網様部→
視床腹側核→大脳皮質運動関連領域
⇒障害されると・・・運動の抑制↑・・・無動
・・・抑制の解放↑・・・不随意運動
②眼球運動ループ
大脳皮質眼球運動領域→尾状核→淡蒼球内節・黒質網様部→
視床前腹側核・背内側核→脳皮質眼球運動領域
⇒障害されると・・・急速運動後に定位置に保持できなくなる
(サッケード障害:眼球の急速な共同運動)
③前頭前野系ループ
◎背外側前頭前皮質ループ
前頭前皮質背外側部→尾状核→淡蒼球内節・黒質網様部→
視床前腹側核・背内側核→前頭前皮質背外側部
◎眼窩前頭皮質ループ
外側眼窩前頭皮質→尾状核→淡蒼球内節・黒質網様部→
視床前腹側核・背内側核→外側眼窩前頭皮質
⇒障害されると・・・遂行機能障害、手続き記憶の障害
④辺縁系ループ
前帯状回→腹側線条体→淡蒼球内節・黒質網様部→
視床背内側核→前帯状回
⇒障害されると・・・情動、感情の表出の障害、意欲の低下、
社会的認知機能障害
【その他の症状】
感覚障害
=疼痛、異常感覚、固有感覚、嗅覚の障害、感覚統合の異常.
重度の嗅覚障害を持つPD例は3年以内に認知機能が低下する.
嗅覚障害のない方は認知機能は落ちない.
嗅球(嗅覚を感じる部位)が前頭前野(眼窩前頭皮質)に
隣接しているため・・・
前頭前野は人間らしさをつかさどる部分でしたね。
*嗅球:嗅葉の一部
社会的認知機能の低下
=他者の恐怖や嫌悪の表情が認識困難となる.
また表情のみでなく,健常者では覚醒度の高いといわれる視覚刺激
(大怪我をした人の写真など)に対する情動反応も低い.
(扁桃体は情動の評価に重要な役割を果たしており,特に恐怖や嫌悪に関与する.
扁桃体を中心とした辺縁系の機能不全との関連が指摘されている)
記憶障害
=手続き記憶が保持できない
手続き記憶は,運動性技能学習,知覚性技能学習,認知性技能学習に分類され,
基底核,小脳が障害されると手続き記憶の障害が起こる可能性がある.
新たな知見をお持ちの方はご教示ください.
あんこ
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